NEWS お知らせ

新年挨拶

令和6年1月1日に発生しました能登半島地震により犠牲となられた方々に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被災されました皆様に心からお見舞い申し上げます。
被災された皆様の安全と被災地の一日も早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。
当協会といたしましても、避難生活が続く被災者の心のケアが重要であると考え、中・長期にわたる支援にしっかり取り組んでいきたいと思います。

本年は診療報酬・介護報酬・障害福祉報酬のトリプル改定の年になります。診療報酬は6月、介護報酬は医療機関と密接な関係がある4サービスは6月施行としそれ以外は4月、障害福祉サービス等報酬は4月からの改定になります。気を引き締めて改定作業を注視していきたいと思っています。

 令和5年12月20日鈴木財務大臣、武見厚生労働大臣の予算大臣折衝で診療報酬改定は+0.88%(国費800億円程度)と決まりました。診療報酬改定分の中には、医療関係職種のベア財源として、令和6年度ベア+2.5%、令和7年度ベア+2.0%実施対応分+0.61%、入院時食事基準額引き上げ(患者負担分1食30円)の低所得者対応分+0.06%を加えて+0.67%となり、生活習慣病を中心とした管理料、処方箋料等の再編財源-0.25%を差し引いた+0.42%を診療報酬引き上げ+0.88%から引いた+0.46%が引上げ率になります。さらに医科1歯科1.1調剤0.3の割合で配分し、最終的に医科+0.52%歯科+0.57%調剤+0.16%に決まりました。4月に施行予定の薬価等改定は-1.0%なので医科診療報酬は-0.48%のマイナス改定となりますが、0.88%のプラス改定ばかりが独り歩きしています。

 今回の診療報酬改定をめぐっては、規制改革推進会議の民間議員からは病院はマイナス改定、診療所については-5.5%のマイナス改定を突き付けられて財務省ペースで改定作業が進んでしまいました。入院時食事療養費に至っては30年近く据え置かれていたものがわずかではありますが引き上げられました。しかしながら、ウクライナ紛争による価格高騰で食事の原材料費、水道光熱費、人件費の大幅な高騰は続いています。また、インバウンド景気の中で医療関係職種は業績好調な他業種に引き抜かれ、欠員を新規に募集しても応募がない状態が続いています。かつて英国のサッチャー首相が行った医療改革で英国の医療は崩壊し、サッチャーの後を引き継いだブレア首相が大幅に医療費を引き上げましたが、一度崩壊した社会システムは簡単に復旧するものではなく、今でも救急医療、外科手術等で大幅な遅れが指摘されています。我々は精神科医療提供体制が万全に取り組まれることができるよう注意深く見守っていく必要があります。

(日本精神科病院協会 会長 山崎學)