GUIDE 精神科医療ガイド

精神科病院で働くプロフェッショナル

精神科病院では、様々な専門職が患者さまの治療、ご家族とのご相談、地域の医療と福祉の連携、病院の管理などの仕事をしています。

精神保健指定医は、精神科医療機関で医師として5年以上の経験を持ち、規定された症例経験のレポート審査および口頭試問を合格した者に厚生労働省が精神保健福祉法に規定された法律行為ができる資格を与えた医師です。患者さまが自らの病状と入院の必要性を理解できない場合、精神保健指定医がご家族等の同意で入院治療の決定をします。また、入院後に患者さまが自傷行為や他害行為などの危険行為がみられる場合や著しく精神的に落ち着かない場合に患者様を安全に保護する目的で、隔離室や身体抑制などの行動制限を行うことがあります。このように精神科医療において、精神障害に伴う生命的な危険行為を防止する目的で行動制限などの法律行為ができる資格を有しています。また、精神保健指定医はこれらの行動制限を最小化するために看護職と常に検討します。精神科医師は治療計画を作成し、精神療法や薬物療法を行い、作業療法などの指示を行います。
デイケアやナイトケアを担当する精神科医師もいます。内科医、皮膚科医、外科医、整形外科医、眼科医などの身体系の専門医師が勤務している医療機関もあります。

看護師は看護計画を作成し、患者さまの病状や療養上の不安や心配事を傾聴します。病院内での生活指導や身体健康管理およびセルフケア(整容、衛生保持、更衣など)の援助を行います。疾病の予防や健康の維持増進を目的とした患者教育を行います。退院前には訪問指導計画書を作成します。より良い精神科看護を目指して精神科認定看護師の資格を持つものもいます。
デイケアやナイトケア、訪問看護を担当する看護師・准看護師もいます。准看護師は医師あるいは看護師の指示のもと上記の看護業務を行います。

治療薬の調剤、医薬品の供給、その他薬事衛生に関する業務を行います。医師の処方箋に基づいた患者に応じた一包化などの調剤調整、薬歴管理(処方歴や過去の薬の飲み合わせの記録)、服薬の説明(服薬方法や効果等の説明、服薬指導)、服薬状況、副作用等のモニタリング、病院外の医療福祉関係者への薬剤説明などの連携・情報共有などの仕事をします。

作業や活動を通して患者さまが社会生活の営みに参加し健康な日々を送れるようにする職種です。移動、食事、排泄、入浴等の日常生活活動訓練、家事、外出等の個人活動訓練、職業関連活動の訓練、退院後の住環境への適応訓練、創作活動、レクリエーションなど、これらの様々な活動や作業などの複合的動作を行うことで社会生活機能の回復を目指します。
デイケアやナイトケア、訪問看護を担当する作業療法士もいます。

病気や外傷あるいは加齢などによって歩行などの身体動作や運動機能が低下した患者さまに対して、基本的動作能力の回復を目的に治療計画をたて、治療体操やその他の運動療法、電気刺激などの物理療法、マッサージ、日常生活活動などを行い身体機能の改善を目指します。

精神保健福祉領域のソーシャルワーカーです。患者さまの社会生活に関する各種制度の情報提供と援助、社会参加への相談と支援を行い、治療と生活の基盤の獲得を目標としています。
デイケアやナイトケア、訪問看護を担当する精神保健福祉士もいます。

種々の心理テストや観察面接を通じて、患者さまの人となりの特徴や問題点を把握し、援助の方針などを明らかにし、カウンセリングや心理療法を行います。患者さんのみならず、学校や職場、家族などの周囲の環境にも働きかけて、心の問題で悩む人々をどのような方法で援助するのが望ましいか検討します。これらの心理的な問題への援助を行っていくうえで、必要な知識や技術を高めるために調査や研究を行います。
公認心理師は、公認心理師登録簿への登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、上記とほぼ同様の行為を行います。さらに、心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行います。(厚生労働省HP抜粋)

管理栄養士は患者さまの状態に応じた健康保持・増進のための栄養指導、病院の特定多数の人に対する給食管理、栄養指導を行います。
栄養士は、入院患者さまの給食の計画・調理・提供を行います。管理栄養士、栄養士は患者さまの栄養指導を行います。
調理師は、給食の調理と盛り付けを行います。

血液検査、心電図検査、脳波検査などの臨床検査を行い身体的健康状態のチェックを行います。

レントゲン検査、コンピュータ断層撮影検査(CT)、磁気共鳴画像検査(MRI)などを行い患者さまの身体的健康状態をチェックします。

身体上又は精神上の障害により日常生活を営むのに支障がある患者さまの心身の状況に応じた介護を行います。

診療録管理、医療費会計、診療報酬管理、公費負担等各種手続き、診断書発行、金銭管理、医療行政との連絡などの業務を行います。
診療情報管理士(民間資格):診療録の管理や内容の精査、診療情報のデータベース化など診療情報に関する管理、データベースから必要な情報を抽出・加工・分析する情報の活用などの業務を行います。

病院建物内の構造物、電気設備、下水道設備、空調設備、備品などの点検修理、病院敷地内の点検補修作業などを行います。
病院によっては建築士、電気工事士、給水装置工事主任技術者、消防設備士、建築物環境衛生管理技術者(ビルメンテナンス)などの国家資格を有する者が勤務しています。

・保育士(国家資格):病院職員家族のための保育施設を有している病院には保育士が勤務しています。
・社会福祉士(国家資格):日常生活を営むことが困難な人に対して助言や指導、援助を行なう専門職で、保健・医療、児童福祉、高齢者福祉、障害者福祉など社会福祉業務全般を行います。精神科病院によってはこの資格を有する者が勤務しています。