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ポストコロナ医療体制充実宣言について

 厚生労働大臣及び当協会を含めた医療関係団体8団体と「ポストコロナの医療体制充実についての意見交換会」が11月6日に開催され、新興感染症対応と医療DXの推進に関する「ポストコロナ医療体制充実宣言」が取りまとめられました。
 当日参加された森副会長より、新型コロナウイルス蔓延時に精神科病院より転院が出来なかった状況や、精神科病院における電子カルテの導入状況等について説明され財政支援を要望しました。
「ポストコロナ医療体制充実宣言」の全文は以下の通り。

 
ポストコロナ医療体制充実宣言
 

 厳しい医療機関の経営状況が続いていた中で新型コロナウイルスの感染拡大が起こり、医療従事者はこの3年間、新型コロナウイルスに対応してきた。
 この間、国民のご理解・ご協力も大きく、我が国における死亡者数は相対的に低く抑えられてきた。
 一方で、著しい感染者の増加により、感染流行初期等において医療の逼迫を招いたことからも、医療提供体制において新興感染症への平時からの備えが必要であることが明らかとなった。
 加えて、平時から感染症有事を通じて、切れ目なくより質の高い医療を提供する観点から、医療におけるデジタル・トランスフォーメーション(医療DX)が必要であることが明らかになった。
 新型コロナウイルスの感染は継続している状況ではあるが、次の感染症拡大への備えを厚生労働省、医療界ともに先手先手で実施するため、下記についての取組を集中的に進めることを共同で宣言する。

<新興感染症対応>
 新興感染症の発生に備え、いわゆるサージキャパシティの確保に向けて、現在、改正感染症法に基づき、新型コロナウイルス対応の最大規模の体制を目指して、医療機関等と都道府県が協定締結の協議を行っている。新型コロナ対応を行った病院及び診療所は、協議の結果を踏まえ、病床確保や発熱外来を行う協定締結医療機関となり、新興感染症対応に参画する。

 今後、厚生労働省は「デフレ完全脱却のための総合経済対策(令和5年11 月2日閣議決定)」等を通じた医療機関への支援策を確実に講じ、医療機関等は、個室病床、ゾーニング可能な病棟、簡易陰圧装置等の整備や個人防護具等の備蓄、検査機能の維持や感染症対応人材の確保に取り組む。
 こうした取組により、具体的には、令和6年4月までに策定される都道府県の予防計画・医療計画において、感染症の流行初期(発生公表から3か月程度)の体制として、全国で1.9 万床の確保病床、1500 機関の発熱外来等を確保し、それ以降の体制として、全国で5.1 万床の確保病床、4.2 万機関の発熱外来等を確保する。協定締結作業は令和6年9月を目途に完了する。

<医療DXの推進>
 新型コロナ対応の教訓も踏まえ、全国の医療機関・薬局・訪問看護ステーションで国民一人一人の診療情報等を全国的な規模で共有可能とする全国医療情報プラットフォームを構築するとともに、マイナ保険証の利用を促進することで、感染症危機も含めて、全国いつどの医療機関等にかかっても、切れ目なくより質の高い医療を提供することを可能とする。今後、「デフレ完全脱却のための総合経済対策(令和5年11 月2日閣議決定)」等の内容も踏まえつつ、電子カルテ情報共有サービス(仮称)の構築、電子処方箋の活用・普及の推進、医療機関におけるサイバーセキュリティの確保に取り組む。

 こうした取組みにより、具体的には、電子カルテについて、医療機関間等での情報共有に必要となる標準化への対応を順次進める。厚生労働省は、FHIR 規格への対応について支援を行うとともに、クラウドベースの標準型電子カルテの整備を行っていく。
 電子処方箋等について、厚生労働省において、各施設の円滑な導入に向けた環境整備を行うとともに、医療機関・薬局において、できる限り速やかに導入するよう取り組む。公的病院においては、可能な限り令和6年度の診療報酬改定に合わせて導入するよう厚生労働大臣より要請する。
 サイバーセキュリティについて、厚生労働省が必要な支援を行いながら、医療機関等において、外部ネットワークとの接続の安全性検証やオフライン・バックアップの構築等を順次進める。
 看護業務について、医療DXの推進等により、効率化を図る。

以上

令和5年11 月6日

厚生労働大臣 武見 敬三
公益社団法人日本医師会会長 松本 吉郎
公益社団法人日本歯科医師会会長 高橋 英登
公益社団法人日本薬剤師会会長 山本 信夫
公益社団法人日本看護協会会長 高橋 弘枝
一般社団法人日本病院会会長 相澤 孝夫
公益社団法人全日本病院協会会長 猪口 雄二
一般社団法人日本医療法人協会会長 加納 繁照
公益社団法人日本精神科病院協会会長 山崎 學

ポストコロナ医療体制充実宣言[PDF]