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令和5年4月1日、改正精神保健福祉法の一部が施行されます

 「精神障害者の希望やニーズに応じた支援体制の整備」を謳った改正精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下、精神保健福祉法)が、令和5年4月1日より一部施行されました。以下、その概要について解説します。

(1) 医療保護入院の同意を与える家族等から虐待を行った者は除かれます。
 今回のこの改正は、ⅰ)虐待等の加害者の同意により本人の同意に基づかない入院をさせることは、患者の権利擁護等のための入院である医療保護入院の趣旨に合わないこと、ⅱ)各虐待防止法等の一時保護措置等を受けている方について、家族等同意の手続きにより現住所等が加害者に明らかになることは適当ではないこと、等を背景にするものです。
 精神科医療機関が、虐待・DV等による行政上の措置(一時保護措置や住民基本台帳事務上のDV等支援措置)を受けていることを把握した場合は、もちろん医療保護入院の同意を与える家族等からは除外されます。また医療機関は、平素より診察等により虐待の早期発見に努めることが求められています(児童虐待防止法等の法令)。診察等の結果、患者が家族等から児童虐待、配偶者からのDV等、高齢者虐待、障害者虐待を受けていると思われた場合には、各法令に基づき通報窓口へ通報等を行うことが必要です。その結果、当該家族に医療保護入院の同意を求めることはできなくなりました。また虐待等を行った家族の他に家族がいない場合には、市区町村長同意を求めることができるようになります。

(2) 医療保護入院の際の書面告知の内容に入院理由を追加し、告知先に同意を行った家族等を追加することになりました。
 従来より医療保護入院を行う際には、本人に対して、医療保護入院を行うこと、都道府県知事に対して退院請求や処遇改善請求ができること、その他通信、面会、行動制限等の入院中の処遇について厚生労働省令で定めた事項を書面で知らせる必要がありました(書面告知)。今回の改正ではそれに入院理由を追加し、同時に同意を行った家族等にも行うこととなりました。

(3) 精神保健指定医の新規申請に関する事項が変わります。
 令和5年4月1日以降に精神保健指定医の新規申請を行う場合には、精神保健指定医の研修の有効期間が従来の1年から3年に変更となります。

(常務理事 櫻木 章司)
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