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令和5年度 災害派遣精神医療チーム(DPAT)事業について

 

 

 日精協は、本年度も災害派遣精神医療チーム(以下、DPAT)体制整備事業を受託し、厚生労働省と一年間の契約を締結しました。

 昨年は本部開催の先遣隊や統括者研修等の実施に加え、新型コロナウイルス蔓延に伴い多くの先遣隊を含んだ都道府県DPATチームが精神科病院等に派遣され、活躍したことは記憶に新しいところです。また、第8次医療計画においても災害医療の重要性が指摘され、新興感染症を含めたDPAT活動の充実が期待されております。

 一方、南海トラフ地震等の全国レベルの広域災害を想定した場合、先遣隊DPATチームは現在の数では到底足りないことは言うに及ばず、その災害現場で大規模な活動に参加できる都道府県DPATチームの増員の重要性も指摘されています。しかしながら、DPATチームの育成研修をしていない都道府県もあるうえ、現在の制度の中ではDPAT(日精協)本部は都道府県DPATチームの育成に協力することはできても、育成・登録することはできません。また、DMATと違いDPATの活動は基本的にボランティアベースであり、DPATチームを持つ医療機関にとっては持ち出しが増えるだけで何も補償が無いのが現状です。

 そこで、今後の災害精神科医療の充実を実現するために、令和5年2月9日に山崎会長と共にDPAT事務局長として、厚生労働省の大島一博事務次官並びに精神保健医療担当である大坪寛子審議官を訪問し要望書を提出し、その要望事項として、①診療報酬上の評価(DPAT・災害拠点精神科病院)、②都道府県研修への補助金の拡充(DPAT体制整備事業)、③DPAT本部事務局の研修を受けた隊を都道府県DPATとして登録することの3点を挙げております。

 また、さる2月2日に開かれたDPAT事務局運営会議で、現在の名称であるDPAT事務局を今後は日本DMATと横並びの名称となる『日本DPAT事務局』とすることと併せてDPAT先遣隊についても「日本DPAT」と名称変更し、災害現場において都道府県DPATチームとの区別がつきやすいようにすることが提案され、厚労省と協議することとなりました。

 本年度は活動要領に新興感染症が加えられたこともあり、精神科での感染症の専門家を新たに迎え、より一層の体制強化に努めてまいります。また、研修会等を通して多くの精神科医療関係者に災害医療の大切さと対応のあり方を学んで頂き、規模拡大の実現と益々充実した活動を行えるように努力していく所存です。

(副会長 野木 渡)
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