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令和3年度障害者総合福祉推進事業「行動制限最小化委員会の実態に関する研究」報告

 日精協では、令和3年度厚生労働省障害者総合福祉推進事業「行動制限最小化委員会の実態に関する研究」を受託し、この度、報告書が出来あがりました。報告書は、全国の精神科病床を有する病院に配布され、当協会のホームページにも掲載されます。

 医療保護入院等診療料を算定する病院は、隔離等の行動制限を最小化するための委員会(行動制限最小化委員会、以下委員会)において、入院医療について定期的(少なくとも月1回)な評価を行うことが求められています。しかし、同委員会の活動状況に関する調査が不足していることから、本事業は、行動制限最小化委員会の実態把握を行うとともに成果物の収集・公表を行うことで、行動制限の最小化を推進することを目的としたものです。

 精神科入院医療においては、精神症状悪化のために隔離・身体的拘束等で患者の行動の制限が必要とされる場合があります。その際には、患者の人権に配慮しつつ、病状に応じて最も制限の少ない方法で行う必要があります。行動制限最小化委員会は、具体的な臨床活動において、この理念を実現するための組織として位置づけられています。

 本事業では、行動制限最小化委員会の実態に関する全国調査を行い、日精協会員596病院(50.3%)、国立・自治体立等131病院(30.4%)の計727病院(45.0%)から回答が得られました。事例報告は、日精協会員病院から375件(79.4%)、国立・自治体立等病院から97件(20.6%)の計472件にのぼりました。さらに、好事例として、全国の5病院から行動制限最小化委員会の有意義な取組みを紹介して戴きました。精神科医療現場では、どの病院も患者の行動制限を最小化するための努力をしていることが分かりました。

 また、本事業では、行動制限最小化委員会の理念と目的、設置の根拠、構成員、活動内容、定例会議の開催、議事内容、データの活用、参考となる学術や公的資料等の内容からなる行動制限最小化委員会の活動に資するための「行動制限最小化委員会の業務のためのマニュアル」を作成しました。項目のなかには、調査結果を入れて参考になるようにしてあります。このマニュアルは、行動制限最小化委員会の運用に大変役立つものです。是非ご活用して戴きたいと思います。

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(理事 中島公博)