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精神科病院におけるコロナ感染の実情について

 日本精神科病院協会は、令和3年9月15日(水)に厚生労働省9階にて記者会見を実施、精神科病院におけるコロナ感染の実情についての説明および新型コロナウイルス感染症陽性の精神疾患を有する患者に関する要望を行いました。

 精神科病院では閉鎖病棟も存在し、病棟内でのソーシャルディスタンスの確保、アルコールやソープ等消毒剤設置(誤嚥の発生)、マスク装着等の衛生管理の徹底が難しく、医療スタッフが感染対策を懸命に施しても、一旦、ウイルス等による感染症が侵入すると、蔓延しやすい環境にあります。令和3年5月20日に行った記者会見では「新型コロナウイルス感染症発生及び転院状況に関する調査」結果(令和3年2月末日時点)を報告し、会員病院の感染状況等を報告しています。

 今回、新たに「新型コロナウイルス感染症対応状況及びワクチン接種状況に関する調査」を実施したところ、令和3年8月23日時点において感染者が発生した会員病院は310病院、総感染者数は5,091名(患者3,602名・職員1,489名)、そのうち感染者が5名以上の病院は120病院でした。当協会としては新型コロナウイルス感染症の発生当初より、精神科病院でコロナ陽性者が発生した場合には精神疾患の治療に特化している精神科病院では感染症に対する専門的な治療には限界があり、速やかに転院出来るようかねてより要望してまいりました。
 しかしながら、今回の調査では精神科病院が転院を要請しても転院できず死亡された方が200 名を超えていることが判明し、極めて由々しき事態であると認識しております。 また、調査時点でのワクチン接種については、70%の入院患者が既に2回接種を終えていましたが、65歳以上の83%に対し、65歳未満では54%と接種率は低く、接種が進んでいない状況です。その背景にはワクチン供給量が足りない、精神疾患で入院する患者について精神症状によりワクチン接種の同意を得ることや、ワクチン接種券が自宅に送付され、回収が困難など様々な意見が寄せられています。

 調査結果を鑑み、当協会は、厚生労働大臣あてに要望書「新型コロナウイルス感染症陽性の精神疾患を有する患者に関する要望(その2)」を提出し、患者の生命を守るため至急の対応を要望いたしました。

 

記者会見資料:精神科病院におけるコロナ感染の実情 他