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新型コロナウイルスワクチン接種の順位について

 新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)拡大防止のために最初の緊急事態宣言が発令されてから令和3年4月7日で1年となりました。この長い新型コロナとの闘いの中、本年2月17日からワクチン接種が医療従事者らから始まり、4月12日からは高齢者、そして基礎疾患をもつ方という順序で接種が進められます。
 新型コロナウイルスワクチン(以下、同ワクチン)接種事業の準備が行われていた令和3年1月15日の厚労省主催「新型コロナウイルスワクチンの接種体制の構築について」の説明会で、精神疾患が同ワクチン接種優先順位の対象となる基礎疾患に含まれていないことがわかりました。

 日本精神科病院協会(以下、日精協)では同ワクチン接種の優先対象となる「基礎疾患」について見直しが必要として、1月19日に「新型コロナウイルスワクチン接種の接種順位に関する要望」を作成し、その翌日には要望書を田村厚生労働大臣に提出しました。精神疾患を優先接種対象とする要望は日本精神神経学会からも出され、2つの団体がともに要望を出すという強い訴えとなりました。
 2度目の緊急事態宣言が出されていた時期でもあり回答が待たれましたが、3月18日の厚生労働省(以下、厚労省)、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会要望接種基本方針部会において、新型コロナのリスク因子に関する海外の知見や英国の接種順位における精神疾患や知的障害の取り扱いを踏まえて厚労省から提案が出され、重い精神疾患や知的障害がある方も「基礎疾患を有する」の範囲に位置づけられることが了承されました。
「基礎疾患を有する」に該当する重い精神疾患と知的障害とは、
・精神疾患の治療のため医療機関に入院していること
・精神障害者保健福祉手帳を所持していること
・自立支援医療(精神通院医療)で「重度かつ継続」も該当すること(自立支援医療受給者証で確認)
・知的障害がある方は療育手帳を所持していること
となります。
 精神疾患を抱えられている方が、コロナ禍で差別されないように、日精協はこれからも自らの責任ある役割を果たし、わかりやすい情報の伝達にも努めていきたいと考えています。

(副会長 野木渡)