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令和2年度 障害者総合福祉推進事業受託/老人保健健康増進等事業について


令和2年度障害者総合福祉推進事業
「精神病床で身体合併症管理を要する入院患者の取組の実態調査」受託について
 

 今回、日本精神科病院協会では、令和2年度障害者総合福祉推進事業の指定課題「精神病床で身体合併症管理を要する入院患者の取組の実態調査」を受託しました。精神病床に入院している患者の高齢化が進み、精神症状の改善を中心とした治療だけではなく、身体合併症及びADLの管理によるQOLの維持は、今後の地域移行を推進するにあたり重要な課題となっています。一般病床での精神障害者の受け入れが困難な現状では、身体合併症治療における病・病連携は進展せず、外科的治療を要する一部の症例を除いて、精神病床での入院を継続して身体合併症治療を行うこととなっています。もとより単科精神科病院において身体合併症治療を行うについては、様々な困難を伴い、また診療報酬における精神科身体合併症管理加算についても、算定可能な対象疾患の指定や治療期間について十分とはいえないとの指摘が、従来より多くなされています。
 今回の事業では、①全国の単科精神科医療機関(患者送り出し医療機関)に対して、身体合併症の重症化を防ぐための診療体制、検査・治療等の診療実態、他医療機関との連携体制について、②精神病床を有するいわゆる総合病院(患者受け手医療機関)に対して、身体合併症患者に対する診療体制、精神科医療機関からの身体合併症受け入れ状況や連携体制について、それぞれ調査票による調査を行い、③調査票の集計・分析を踏まえて、患者送り出し医療機関、患者受け手医療機関のそれぞれに対するヒアリングを行う等による事例分析を行うことを計画しています。また本事業の遂行にあたっては、有識者、医療関係者(医師、臨床検査技師、精神保健福祉士等)で構成された検討委員会を設置しています。検討委員会では、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の中で精神障害者の身体合併症治療をどう位置づけるか、また総合病院精神科の位置づけを含め身体合併症に対する精神科救急医療体制はどうあるべきか、等の検討を通じてより質の高い精神科医療を実現することに寄与することを目標としています。

令和2年度障害者総合福祉推進事業(37番)
(常務理事 櫻木章司)

令和2年度老人保健健康増進等事業(94番)
「認知症重症化予防(三次予防)に関する調査研究事業」受託について
 

 我が国の総人口(2019年9月15日現在推計)は、前年より減少し、1億2,617万人、一方、65歳以上人口は、前年に比べ32万人増加の3,588万人です。総人口に占める高齢化率(65歳以上人口の割合)は28.4%と過去最高であります(出展:総務省統計局/統計データ/統計トピックスNO.121/高齢者の人口http://www.stat.go.jp/data/topics/topi1211.html)。
 介護保険制度がスタートしたのは2000年であり、この20年で高齢者人口は著しく増加しました。高齢化は今後も進み、2025年には団塊の世代がすべて75歳以上となり、2040年には高齢者人口がピークになると推測されます。
 「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」(平成26年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業 九州大学 二宮教授)による速報値によれば、2025年の認知症の有病者数は約700万人、2040年には、約900万人になると考えられます。
 2019年6月、「認知症施策推進大綱」が発表されました。認知症の人や家族の視点を重視しながら「共生」と「予防」を車の両輪として施策を推し進めるとあります。認知症になるのを遅らせる(一次予防)、早期発見・早期対応(二次予防)、発症後の進行を遅らせる取組み(三次予防)が重要となります。特に三次予防では、重症化予防、機能維持、行動・心理症状(BPSD)の予防と対応が推進されます。
 認知症は認知機能の低下により日常生活が障害された状態です。認知症への対応には、生物学的アプローチ、心理社会的アプローチが必要であり、総合的観点を有している精神科医が中心的役割を果たさなければなりません。
 介護保険による認知症の通所リハビリテーションが実施されています。介護保険を申請して要介護認定を受け、ケアマネジャーによるプランが作成されます。心身機能の維持、器具を使ったパワーリハビリなどが行われています。医療保険による認知症デイケアの大きな特徴は、精神科医をはじめとする専門の多職種(看護師、OT、PSW、CP等)が常駐していることです。介護保険との併用も可能であり、経済的負担も軽減されます。また、多職種による専門的治療により、進行を遅らせ、BPSDの軽減、介護負担の軽減を可能にします。今回は、この重度認知症患者デイケア実施医療機関への実態調査を行い、三次予防へのデイケアの有用性を明らかに致します。ご協力宜しくお願い致します。

令和2年度老人保健健康増進等事業(94番)
(常務理事 渕野勝弘)