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新型コロナウイルス対応におけるDPAT活動報告について記者会見の実施(報告)

日本精神科病院協会は平成27年より厚生労働省より災害派遣精神医療チーム(Disaster Psychiatric Assistance Team、以下DPATと略す)事務局業務受託しています。今般の新型コロナウイルス対応について、令和2年2月1日厚生労働省医政局地域療計画課よりDPAT所属医療機関に対しDPAT派遣要請があり、DPAT事務局にて派遣調整を行い、3月3日にDPAT派遣活動を終了しました。
派遣活動終了を受け、『新型コロナウイルス対応におけるクルーズ船等でのDPAT活動報告』とした記者会見を令和2年3月4日、厚生労働省9階にて行い、派遣者全員のPCR検査の実施と活動終了後の待機期間の補償等をするよう求めたことを表明しました。

DPAT事務局にて派遣調整を行い、クルーズ船内や中国・武漢からの帰国者が滞在した施設等に延べ205隊(延べ606人)を派遣しました。詳細は表の通り※。

活動場所 活動期間 延隊数 延人数
 クルーズ船(内外)  2月6日~21日 81隊  198人 
 税関研修所  2月2日~15日 19隊  60人 
 ホテル三日月  2月2日~13日 12隊  36人 
 国立保健医療科学院  2月2日~14日 17隊  59人 
 税務大学校  2月3日~3月3日 76隊  253人 
計   2月2日~3月3日 205隊  606人 

※上記情報については精査したため、会見時の報告と異なる

日本精神科病院協会では厚生労働省に対し、令和2年2月14日付け日精協発第19145号にて「新型コロナウイルス対応におけるDPAT活動の補償について」を要望、さらに、令和2年2月26日に派遣した濃厚接触者ではないDPAT隊員からPCR検査陽性が判明したことを受け、改めて補償について令和2年3月3日付け日精協発第19152号「新型コロナウイルス対応におけるDPAT活動の補償について(その2)」の要望書を提出しています。

会見で山崎學会長は 「今回のDPAT派遣についてPCR検査等の適切な補償がなされない場合、今後の活動について協力が得られない可能性が高い。今回の派遣により万が一、病院経営上に支障を来した場合は、国に補償してほしいと考えている」「DMAT(災害派遣医療チーム)の場合は包括医療費支払い制度(DPC) の係数で上乗せされており、DMATの諸経費が入っている。チームの派遣にかかわらず、診療報酬上で毎月請求ができる。しかし精神科の場合はDPC制度がなく、診療報酬上の取り扱いが全くない。次回の診療報酬に向けてDPAT派遣について診療報酬上の位置付けを要望していく。」と話しました。
また、DPAT事務局の事務局長を務める野木渡副会長は「感染症での派遣は想定外であり、これまでになく大変な活動だった。活動後の隊員は2週間の経過観察をしており、その間は所属機関の判断で出勤停止となっている場合がある。未知の感染症という不安がある中で参加した隊員が風評被害を受けないよう、国には対応してほしい」と話しました。

記者会見において濃厚接触者の定義について説明が不十分でございましたので補足いたします。DPAT隊員については、適切な感染防護を行っており、下記定義における濃厚接触者には当たりません。

国立感染症研究所 感染症疫学センター「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(暫定版)-患者クラスター(集団)の迅速な検出の実施に関する追加-」
●「濃厚接触者」とは、「患者(確定例)」が発病した日以降に接触した者のうち、次の範囲に該当する者である。
・新型コロナウイルス感染症が疑われる者と同居あるいは長時間の接触(車内、航空機内等を含む)があった者
・適切な感染防護無しに新型コロナウイルス感染症が疑われる患者を診察、看護若しくは介護していた者
・新型コロナウイルス感染症が疑われる者の気道分泌液もしくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高い者
・その他: 手で触れること又は対面で会話することが可能な距離(目安として2メートル)で、必要な感染予防策なしで、「患者(確定例)」と接触があった者(患者の症状などから患者の感染性を総合的に判断する)。

なお、一部報道において「船員が感染広げた」との見出しとなっており、クルーズ船の船員に責任があるような記載となっておりますが、本来の発言の趣旨とは異なりますのでご留意のほど宜しくお願い致します。

【3/4記者会見概要】新型コロナウイルス対応におけるクルーズ船等でのDPAT活動報告