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災害発生時の精神保健福祉法による入院手続きに関する要望について

 史上最強クラスの台風19号が、令和元年10月12日夜から13日未明にかけて東日本を縦断し極めて広い範囲に甚大な被害が出ました。治水能力を超える大雨は河川を氾濫させ、6県8病院から被害の報告があり、そのうち3病院が病棟1階部分の浸水被害を受けました。

 その3病院のひとつ、栃木県の会員病院は浸水により10月14日に全患者避難を余儀なくされました。しかし、東日本大震災や熊本地震の際に厚生労働省から発出された「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に規定する入院手続き」に関する緩和通知が今回はなく、医療保護入院(非自発的)の患者さんは転院の同意が取れた方から搬送するしかありませんでした。その結果、想定外に時間がかかり、患者さんの移送に実質5日間もの長い時間を要してしまうという事態が発生しました。

 このことを受け、日精協は災害発生時の被災状況により生命が守れる行動がとれるよう、精神保健福祉法による入院手続きに関する要望を取りまとめ、厚生労働省に提出しました。

 災害はその時々で異なる様相を見せ、その対応には柔軟さと多様性が求められます。日精協は迅速に被災会員病院からの声に耳を傾け、問題認識を行い、安全で円滑な患者さんの搬送をいかなる場合でも確保できるよう、災害部会において会員病院と災害時の対応策を見直し、またその一方で今後も国に対して必要とされる要望を提示して参ります。

(副会長 野木 渡)