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災害時支援中心病院と台風15号における千葉県での活動

 令和元年9月9日に関東地方に上陸した台風15号は、千葉県を中心に甚大な被害をもたらしました。強風等による人的・物理的被害に加えて、送電塔倒壊や電線切断などによる停電が複数箇所で同時多発的に発生し、しかも当初の予想に反して長期化したことで、住民の生活は大きく脅かされました。

 さて日精協では、このような大規模災害時における会員病院同士の共助システムを確立すべく、平成29年3月より災害時支援中心病院を全都道府県で指定し、有事に備えてきました。災害時支援中心病院は、災害時における「共助の核」となり、被災状況の情報収集や支援物資の取りまとめをするのが主な役割です。台風15号で大きな被害を受けた千葉県でも、災害時支援中心病院が中心となって物資支援を行いました。

 台風上陸から数日が経過した段階でも停電・断水が続き、東京電力による停電復旧の目処が立たない状況で、水や食料が不足しはじめた病院や「有熱者をクーリングするための氷がない」という病院が出現しました。
 日精協千葉県支部では、事前に浅井病院と千葉病院が災害時支援中心病院に指定されており、被害が比較的軽微だった浅井病院が災害時支援中心病院として共助活動を行うこととなりました。
 9月11日に市原市の2会員病院と八街市の会員病院に食料・水・氷の支援物資を届けました。9月12日には浅井病院内に日精協千葉県支部・災害対策本部を設置し、FAXにて県内すべての会員病院の被害状況の把握を行いました。FAX返信がない病院には電話等で担当者に直接確認を行うとともに、EMISによる情報収集を行いました。
  その結果、県内すべての会員病院の被災状況と食料や水の充足状況を災害時支援中心病院が一元的に把握することができました。その後の県内のインフラ復旧と共に病院機能も回復し、災害時支援中心病院としての活動を終結しました。

 大規模災害時には都道府県、自衛隊、消防、DMATやDPATなどの災害派遣医療チームなど、多くの関係機関と、移り変わるフェーズに応じて平時とは異なる連携を構築することが求められます。 日精協は、平時からお互いに顔の見える関係をそれぞれの地域で築いています。その日精協の強みを活かした共助システムこそが災害時支援中心病院であり、予期せぬ大規模災害への大きな備えとして、今後も更なる機能拡充が期待されています。

(病院経営委員会 災害部会 小原尚利)