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映画『閉鎖病棟-それぞれの朝-』タイアップポスターキャンペーン

映画「閉鎖病棟」ポスター

 この度、日本精神科病院協会が平山秀幸氏の監督、脚本による映画『閉鎖病棟-それぞれの朝-』のタイアップをすることになりました。

 原作者である帚木蓬生氏は昭和22年福岡県小郡市に生まれ、東京大学仏文科を卒業後、テレビ業界で2年間勤務された後、九州大学医学部に学び、卒業後は精神科医になられました。その傍ら小説家としても大いに存在感を発揮し『三たびの海峡』『逃亡』『ソルハ』『蠅の帝国』『蛍の航跡』『日御子』等の多くの受賞作があります。原作の『閉鎖病棟』は1995年の作品で第8回山本周五郎賞を受賞しています。また、小説以外にも精神科医として依存症をテーマにした著書が多く、特にギャンブル依存に対する医療的関わりを多く持たれています。
 現在は福岡県で開業医をされながら、執筆活動も意欲的に続けていらっしゃいますが、日精協の会員病院で診療部長をされていた経緯もあり、多くの会員病院の先生方との交流もあると聞きます。

 さて、映画『閉鎖病棟-それぞれの朝-』ですが、時代背景が小説より現代に近い形でモディファイされており、長野県の精神科病院が舞台となっています。
 原作にある何とも言えない博多弁の会話がないのが残念ですが、出演する俳優さんは笑福亭鶴瓶さん、綾野剛さん、小松菜奈さんといった豪華な顔ぶれです。
 現在、精神科病院では、ほとんどの患者さんが3か月以内に退院されますが、映画の中の時代では精神疾患を患った患者さんを、如何に社会全体が受け入れず、如何に退院や社会復帰が難しかったかが見て取れます。
 また、患者さん目線で話が進行していき、社会に戻っていくことのできない患者さんの葛藤や苦悩が描かれているだけでなく、世の中の誰しもと同じように真面目さ、素直さを元来持っていながらも精神疾患を患い、管理化された居場所にしか身の置き場のなかった患者さんの優しさや思いやりの強さが映画全体に流れています。フィクション作品ではありますが、さすがに精神科医が書いたというに相応しい作品だといえます。できれば原作を読んでから映画を見て頂ければ、この映画のもつ素晴らしさや患者さんの想いがより伝わってくることでしょう。

 日本精神科病院協会は、今後も『精神障害者の人権擁護と社会復帰を促進すること』を目指し邁進していく方向に変わりはありません。

(副会長 野木 渡)