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平成29年度日本精神科病院協会 ハワイ医療施設視察研修旅行報告

今年の日本精神科病院協会の海外医療施設視察旅行は、平成29年6月29日(木)から7月7日(日)までの9日間の日程で行われ、ハワイ島1施設とオアフ島2施設を視察した。
南国のハワイでどのような精神科医療が行われているのか、今回オアフ島でのハワイ州立精神科病院Hawaii State Hospital とKahi Mohara Behevior Hospitalの視察を報告する。
 
ハワイ州立精神科病院はハワイ州唯一の精神科州立病院で、ホノルルの郊外で数棟の病棟があった。触法患者専門病院201床で、入院は月30人で100%裁判所から紹介される。
触法患者対応病棟(44床)の入院期間は2~6か月で、その入院期間は裁判所が決める。36床が急性期対応病棟で入院期間は3~4日で上限は3か月。触法患者には社会復帰プログラムに従って治療される。作業療法には力を入れていると強調された。OTモールという体育館があり、バスケットボールやガーデニング等の作業がグループ作業療法として行われる。
Kahi Mohara Behevior Hospitalは1993年の創立の民間病院(非営利)で、ハワイの唯一の私立精神科病院(88床)である。経営者は医師ではない。44床が急性期病棟(成人)・32床が思春期病棟で、特徴的なのが兵役や戦場でのPTSDの患者用の8床がある。広大な敷地に平屋建ての病棟が点在していた。
外来では思春期デイケアが中心で、外来ECTを行っている。思春期デイケアは13~18歳の患者(自閉症等)を対象とし、9:00~15:00(月~金)行われておりLife skillや社会心理学的な指導をしている。義務教育としての授業はない。外来ECTは3回/週(月・水・金)行われている。ECTが行われているのはハワイ州で2病院のみである。施行するには保険会社の許可が必要で、麻酔は麻酔専門看護師が担当する。残念ながらECT施行は見学できなかった。
 
日本精神科病院協会の海外医療施設視察旅行は毎年病院管理委員会が企画している。昨年は諸事情があり中止となったが、今年は穏やかな南国ハワイで行われた。来年も有意義な研修旅行を企画したいと思う。

(病院経営管理委員会 委員長 南尚希)