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2017年 年頭のご挨拶

 明けましておめでとうございます。
 昨年は英国のEU離脱、難民流出、国際テロ事件、トランプ米国次期大統領候補の勝利、日露首脳会談、安倍総理の真珠湾訪問と目まぐるしい1年でした。今年も国際関係が流動化している中でフランス、ドイツで大統領、首相選挙が行われますが、いずれも民族派の候補が勝利するのではないかと言われ、国際経済を含めて波乱が予想されます。こうしたことを背景としながら、我が国の少子高齢化は進み、世界に冠たる国民皆保険制度を含めた社会保障制度が危機に瀕しています。毎年6000億円超の社会保障費の自然増を抑えるために、本年度は高齢者保険の給付、負担を中心に1400億円を圧縮し、自然増を5000億円にしましたが、毎年の赤字を赤字国債で補填するこのやり方はすでに限界が来ています。高齢化による認知症、長期治療を要するがん患者さんが急増し、高額な抗癌剤、降圧剤、高脂血症剤、抗認知症薬等が急速に医療保険を圧迫し、国民皆保険制度は破綻寸前です。まず医療の必要経費的性格の薬剤・医療材料は医療保険の給付から外し、国が買い上げ機関を作り、直接メーカーから買い上げて、現物給付にするべきです。つぎに地域包括ケアを中心に高齢者対策をするなら医療保険、介護保険の統一を図り、給付の在り方、負担の在り方について抜本的な改革を行うべきです。今の制度のままでは早ければ5年以内に社会保障制度は根底から崩れるのではないかという危機感を持っています。消費税増税を含めて目先の利益にとらわれることなく、安心な老後、次世代への負担押し付けのないような制度を作るには今が最後のチャンスだと思っています。

(日本精神科病院協会 会長 山崎學)