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「身体拘束 突然死の危険」の記事について(抗議文)

日精協発第19091号
令和元年9月9日

株式会社読売新聞大阪本社
代表取締役社長  溝 口  烈 様

公益社団法人 日本精神科病院協会
会 長  山 崎  學

読売新聞大阪本社版「身体拘束 突然死の危険」の記事について(抗議文)

 
本協会は、昭和24年に発足し、現在会員病院1196病院(令和元年9月現在)、全精神科病床の85%を占める、我が国において精神医療福祉サービスを提供する最大の団体であり、長年にわたって精神疾患を有する患者の治療と社会復帰を進めてきた公益社団法人であります。

 この立場から、貴社令和元年9月1日付発行の記事は、国民に対して誤った認識を与えるものとして、本協会としても断じて許すことのできないものであります。

 記事全体に明確な根拠がなく一方的な主義主張に依拠したものではないかとの大きな疑念がありますが、何より看過できないことは記事に掲載された写真であります。掲載写真は、実際に精神科の医療現場ではほとんど行われていない最強度の拘束形態です。通常は、より軽度の部分的拘束がなされているケースが多く、患者には相当程度の可動域が確保されております。しかし、今回のように極端な拘束の写真を掲載することにより、精神科医療ではこのような拘束を日常的に行っており、また、精神科の患者はこうした重度の拘束を要する危険な存在であるかのような印象を与えかねず、精神障害者と精神科医療従事者に対する偏見を助長し、その意味で精神科患者を冒涜するものです。延いては、国民全体のメンタルヘルスの推進を大きく阻害する惧れがあります。

 ついては、本協会は、精神障害者ならびに精神科医療従事者に対する偏見を助長するこのような記事を認可掲載した貴社に対して、断固抗議するとともに、読売新聞誌上及び貴社ホームページ等にて、記事の訂正と謝罪の掲載を早急に行うよう、要求します。