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「精神保健医療福祉の見直し」に対する要望

日精協発第 12228号
平成 25年 3月 1日

公明党 厚生労働部会
部会長 渡辺 孝男 殿
障害者委員会
委員長 高木美智代 殿

公益社団法人 日本精神科病院協会
会 長  山 崎  學

 
「精神保健医療福祉の見直し」に対する要望

 
私共公益社団法人日本精神科病院協会は平成24年5月に将来ビジョン戦略会議報告書「我々の描く精神医療の将来ビジョン」をとりまとめました。この報告書はこれまでの本協会の政策提案や今後の方向性のあり方を基盤として、これからの向かうべき方向の先にある「将来あるべき姿」を明示し、そこに至る道筋としての行動を呈示したものであります。
 
現在、これらの将来ビジョンを具現化するための実効性のある方策を立案中であり、我が国の精神保健医療福祉の充実に向けて今後とも邁進する所存であります。
 
公明党におかれましては、今回「精神保健医療福祉の見直し」について検討されるに当り、是非とも下記の事項について特段のご配慮をお願いいたします。

 

- 記 -

1.精神病床機能分化の推進について

現在の精神病床を適正に機能分化し、それぞれの地域特性や病院特性を生かした治療体制を確立させることが、我が国の精神科医療体制の充実にとって重要な基本的施策である。そのためには各々の治療場面で、その最適な医療サービスの あり方を構築し、治療提供における役割機能や内容を明確にする必要がある。特に精神科入院医療においては、短期入院医療機能の整備と一般科並みの診療報酬上の評価が必要であり、さらには長期在院者に対してその病態や特性に応じた適正な処遇が可能な治療体制の創設が不可欠である。また地域移行を推進し、精神 障害者の地域生活を充実させるために平成25年4月より施行される障害者総合支援法との十分な連携が必要となる。

2.精神保健福祉法改正について

(1)指針について
精神保健福祉法の改正において、「精神病床の機能分化等精神科医療の提供の確保に関する指針を定める」とされているが、指針の具体的内容については十分な議論がなされる場が必要である。また現実に則した実効性のある内容でなければならない。
 
(2)保護者制度の廃止について
保護者の義務に関する規定をすべて廃止するとの案については基本的に賛同するが、実際の臨床現場においては、精神科病院と家族等が患者の治療につき、協力して当たるべきは当然であり、家族等の義務を規定しないことによる医療現場の混乱を危惧する。 
 
(3)医療保護入院の見直しについて
「入 院手続等」について、医療保護入院の要件として「家族等のうちいずれかの者の同意」が示されているが、家族等について「順位」が定められていないのは問題である。例えば配偶者が同意しなくても扶養義務者の一人が同意すれば入院が可能となる。はたして妥当性があるのか疑問である。さらには現行法では家裁の審 判により扶養義務者たる身分が確認できるが、改正案では身分の確認方法が不明確である。
退院や処遇改善請求についても家族等について「順位」が定められていないため、家族間で意見が一致しない場合に混乱が生じると危惧する。
「病院内の取組」や「地域の支援」については省令等で具体的な内容が検討されると思われるが、地域の支援体制がまだ十分には整備されていない現状を踏まえた上での検討が必要である。

以上