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平成25年度予算要望について

日精協発第 12197号
平成 25年 1月 7日

自由民主党
 政務調査会長  甘利 明 殿
 組織運動本部長  竹下 亘 殿
 団体総局長  田中 和德 殿

公益社団法人 日本精神科病院協会
会 長  山 崎  學

 
平成 25年度予算要望について

 
今 般自民党・公明党による安倍新政権がスタートしました。今回の衆議院総選挙における自民党マニフェストにおいて「精神保健医療福祉の推進」及び「認知症対策の推進」が掲げられ、今後の精神保健医療福祉と認知症対策に対して現実的な政策実現のための方向性が示されたことに対して改めて感謝と敬意を表させていただきます。
 
私 共公益社団法人日本精神科病院協会は平成24年5月に将来ビジョン戦略会議報告書「我々の描く精神医療の将来ビジョン」をとりまとめました。この報告書は これまでの本協会の政策提案や今後の方向性のあり方を基盤として、これからの向かうべき方向の先にある「将来あるべき姿」を明示し、そこに至る道筋としての行動目標を呈示したものであります。
 
国民のメンタルヘルスの向上、精神保健医療福祉の推進、認知症対策の充実等についての施策実現のため、平成25年度予算の編成にあたり下記の通り要望いたしますので特段のご配慮をお願いいたします。

 

- 記 -

1.精神科医療体制の充実のための予算確保について

(1) 精神科救急医療運営事業に係る予算の大幅な見直し
精神障害者が地域生活に移行し、安心な生活を維持するためには、必要な時に必要な医療が受けられる医療体制の確立が極めて重要である。そのための支援体制として、精神科救急医療体制の充実が喫緊の課題であるが、現状の精神科救急医療運営事業の予算は「空床確保料」「体制確保料」とも不十分であり、特に精神科救急医療体制で中心的な役割を果している病院群輪番施設に対する評価は極めて低い。平成25年度においては大幅な予算増額を願いたい。
 
(2) 精神病床機能分化の推進を図る予算措置
現在の精神病床を適正に機能分化し、それぞれの地域特性や病院特性を生かした治療体制を確立させることが、我国の精神科医療体制の充実にとって重要な基本的施策である。そのためには短期入院医療機能の整備と一般科並みの診療報酬上の評価が必要であり、さらには長期在院者の中の要介護高齢入院患者に対応した新たな施設体系(介護精神型老人保健施設)の創設が不可欠である。平成25年度においてこの新施設体系のモデル事業を予算化するとともに、その具体化について早急に検討されたい。

2.認知症対策推進のための予算確保について

認知症疾患対策の重要性は超高齢社会に突入した我国の最重要課題のひとつである。認知症に対しては医療・介護が連携をとりながら地域での生活を支えていくことの方向性は当然ではあるが、その中で精神科医療のはたすべき役割の重要度は今後も益々増大することは間違いない。特に「認知症疾患医療センター」の役割は診断、治療のみならず地域の介護サービスとの連携も必須であり、その運営には施設基準以上のマンパワーの配置が必要となっている。よってその運営費補助の大幅な見直しを図られたい。
また、認知症に随伴する精神症状や問題行動に対する専門治療病床の必要性は今後益々増大すると考えられ、これらの病床の配備に対する予算措置を願いたい。

3.精神疾患や精神障害を理解してもらうためのメンタルヘルスサポーターの普及のための予算確保について

精神疾患と精神障害、さらには心の健康づくりや自殺予防活動に関する基礎的な知識と技術を身につけ、ボランティアとして活動する人を養成するメンタルヘルス・キャラバンを是非とも事業化していただきたい。この活動の中心的役割をはたすメンタルヘルスサポーターの養成事業を全国展開することが広く国民の啓発につながる。

4.精神障害者の地域移行を推進する障害福祉サービスの確立のための予算確保について

かねてより当協会は、精神障害者については精神科病院から地域への移行を実現するための受け皿としての社会資源の整備が遅々として進んでいないことを指摘してきた。結果としていわゆる「社会的入院」や長期在院者の問題が精神障害者対策の最重要課題として指摘されてきたが、財源も含め今なおその根本的な解決策は国の施策として示されていない。平成25年4月より施行予定の障害者総合支援法においては、精神障害者の地域移行を促進するための社会資源の充実策の推進、地域生活支援センターの基幹的なセンター施 設としての「地域生活支援・訓練センター」の創設、さらには医療及び看護の支援が必要である精神障害の特性を考慮した障害福祉サービスの実現のための財源確保を要望する。