ABOUT 日精協について

平成24年度診療報酬改定に係る入院基本料等の栄養管理体制基準の抜本的見直しについて(緊急要望)

日精協発第12008号
平成24年4月10日

厚 生 労 働 省
 保険局長  外口 崇 殿
 保険局医療課長 鈴木 康裕 殿

公益社団法人 日本精神科病院協会
会 長  山 崎  學

 標記基準については、「当該保険医療機関内に、栄養管理を担当する常勤の管理栄養士が1名以上配置されていること」が入院基本料及び特定入院料を算定するにあたっての必須要件とされたところです。
 このような改定を行った根拠として「栄養管理実施加算を算定している医療機関が多いこと」と説明されていますが、当協会の会員病院に対して「栄養管理実施加算の実施に伴う緊急影響調査」(別添「同調査結果」参照)を実施したところ、次のような問題点が浮き彫りになっています。(調査対象病院数  1,208件、回答数 1,049件)
 
(問題点)

  1. 小規模病院で常勤の管理栄養士を配置することは財政的負担が大きい
    • 常設の管理栄養士0人の病院は、病床数100床未満では、15.8%、199床以下では、5.78%となっている。
  2. 常勤の管理栄養士の配置数に地域格差が著しい
    • 管理栄養士0人の病院は、30で、北海道、岩手、秋田、山形、茨城、栃木、千葉、東京、富山、山梨、長野、岐阜、愛知、京都、和歌山、広島、山口、高知、福岡、大分、鹿児島の21都道府県
  3. 常勤の管理栄養士が欠員になった場合、欠員補充が所定期間内に困難
    • 3ヶ月以内に補充できないと回答した病院数は、369病院(35.2%)
    • 6ヶ月かかっても補充できないと回答した病院数は、228(21.7%)

(病院の意見)
 改正前に栄養管理実施加算を算定していた会員病院からは、栄養管理実施加算廃止は実質的引き下げであるうえに、数少ない管理栄養士が退職し、所定期間内に補充ができなくなった場合は、病院経営にとって大きな打撃となると不安視する意見が多く寄せられています。また、改定前に栄養管理実施加算を算定していない病院にあっては、地域に管理栄養士がいないことから、猶予期間の二年間に管理栄養士が確保できるか、危惧しています。

 今般の改正において、「診療報酬体系の簡素化を行 う」と大義名分を掲げて、栄養管理実施加算を廃止したことは、これまで栄養管理実施加算を算定していた病院にとって診療報酬の実質的マイナス改定であるうえに、常勤の管理栄養士の1名以上の配置を義務付けたことは、病床規模や地域格差等への配慮が欠けていたと言わざるを得ません。
 ついては、当該基準を抜本的に見直しし、可及的速やかに救済策を講じられるよう強く要望します。