ABOUT 日精協について
診療報酬改定に関する要望について -日病協-
2011/02/04
厚生労働省保険局長 外口 崇 殿
日本病院団体協議会 | 議 長 邉見 公雄 |
国立大学附属病院長会議 | 常置委員会委員長 河野 陽一 |
独立行政法人国立病院機構 | 理事長 矢崎 義雄 |
全国公私病院連盟 | 会長 竹内 正也 |
社団法人全国自治体病院協議会 | 会長 邉見 公雄 |
社団法人全日本病院協会 | 会長 西澤 寬俊 |
社団法人日本医療法人協会 | 会長 日野 頌三 |
社団法人日本私立医科大学協会 | 病院部会担当理事 小山 信彌 |
社団法人日本精神科病院協会 | 会長 山崎 學 |
社団法人日本病院会 | 会長 堺 常雄 |
一般社団法人日本慢性期医療協会 | 会長 武久 洋三 |
独立行政法人労働者健康福祉機構 | 理事長 名川 弘一 |
要 望 書
平成22年度診療報酬改定において、診療報酬本体は10年ぶりの報酬増と なった。しかし、日本の医療の存続、質向上のためには、改革すべき項目は多く存在 する。今回、日本病院団体協議会として、先に要望した「根拠に基づく入院基本料等の算定方式の創設」に続き、下記を要望する。
- 標準化に適合した医療情報システムの整備と活用における診療報酬上の評価について
- 同一日の同一医療機関複数科受診について
- 入院患者の他医療機関への受診の取り扱いについて
- 「外来リハビリテーション管理料」の新設について
以下、個々の要望項目を解説する。
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- 標準化に適合した医療情報システムの整備と活用における診療報酬上の評価について
医療情報システムは、国全体の疾病構造の把握、臨床評価指標の活用、個人の健康管理、医療機関相互の情報利用、などにおいて極めて重要であり、早急に整備する必要がある。
現在、日本の医療情報システムは標準化が進みつつあるが、医療全般に普及しているとは言えず、重要な情報が統合できない状況である。しかしながら、各関連企業が情報システムの標準化に協調することで、医療情報の統合は飛躍的に進むと考えられる。
一方、各医療機関は、オンラインレセプトへの対応をはじめ、オーダリングシステム、電子カルテ、画像電子化、などの導入に巨額の投資が必要であり、一定の 維持費用も発生する。そして、医療機関から提出された情報は、日本全体の医療政策、保険者機能の強化、さらに医療の質の向上などにおいて有益な情報となる ものであるが、医療機関はその投資に見合う収入が全く得られていない。
このような現状を鑑み、以下を要望する。
【要望事項】
医療情報の標準化によるデータ活用の推進は、日本の医療の質向上に貢献する。また、標準化による情報機器の価格低下も期待できる。
今後の医療情報システムの整備と標準化を促進するため、医療情報標準化指針で示された規格に含まれた、厚生労働省標準規格に適合したレセプト・オーダリン グシステム、電子カルテなどの医療情報システムを使用し、標準化されたデータを取り扱う場合、診療報酬上十分な評価が行われることを要望する。
- 標準化に適合した医療情報システムの整備と活用における診療報酬上の評価について
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- 同一日の同一医療機関複数科受診について
医療は、医師の診察に基づく極めて専門性の高い診 療が基盤であることは論を俟たない。さらに各科協調による全人的医療の提供 は国民のためでもある。しかるに、同一医療機関における同一日の複数科受診については、現在の診療報酬では2つ目の診療科の初診に限り所定点数の100分 の50に相当する点数を算定することのみしか認められておらず、医師の技術料を無視した体系となっている。
従って、以下を要望する。
【要望事項】
医師の専門性を活かした各科協調による医療はより高度な全人的医療の提供であり、その個別診療科の専門性は当然評価されるべきである。したがって「同一医 療機関において、同一日に複数の診療科を受診した場合、すべての診療科について、初診料および再診料の区別なく、また減算することなく算定できること」を 要望する。
- 同一日の同一医療機関複数科受診について
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- 入院患者の他医療機関への受診の取り扱いについて
入院中の他医療機関への受診の取り扱いは、従来、包括支払病棟では入院料の70%減とされており、今回の平成22年度改定においては、出来高支払病棟でも30%減というルールが明確化された。
しかし、現実にはこのようなルールの下、多くの国民の受療制限が起こっている。
例えば、- 精神疾患と内科や外科疾患が合併している患者の入院が必要とされた場合、精神科単科の病院で受け入れると、内科や外科疾患の治療費の多くはその精神科単科病院の支出になってしまう。
- 医療療養病床において、認知症による問題行動がある患者が、長期に渡り精神科に受診し投薬される場合、その治療費の多くは医療療養病床が負担することとなってしまう。
- 包括支払病棟で、白内障・緑内障等の眼科専門領域の疾患を他の専門医療機関で治療する場合、その治療費の多くは包括支払病棟が負担することになってしまう。
ここに例を示したように、現行の入院中の患者の他医療機関への受診取り扱い規則は、国民の基本的な受療の権利を規制している。従って、以下を要望する。
【要望事項】
入院中の患者が、医学的必要に応じて他医療機関の専門的医療を受ける場合、出来高払い・包括払いを問わず、診療報酬上の制限を行わないことを要望する。
- 入院患者の他医療機関への受診の取り扱いについて
- 「外来リハビリテーション管理料」の新設について
病態の安定した外来リハビリテーション患者は必ずしも毎回、医師の診察を必要とせず、むしろ療法士による機能回復訓練こそが重要である。
したがって、上記のリハビリテーション患者に対して「リハビリテーション処方箋」を出し、一定期間(2週~2か月程度)その処方箋に沿ってリハビリテーションが提供できる制度の創設を要望する。
【要望事項】
上記の「リハビリテーション処方箋」によって、外来リハビリテーション医療を管理する「外来リハビリテーション管理料」の新設を要望する。
以上