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平成22年度診療報酬改定に関する要望書について

日精協発第10084号
2010/06/25

厚生労働省 保険局医療課
   課長 佐藤 敏信 殿
   課長補佐  佐々木 健 殿

社団法人 日本精神科病院協会
会長  山崎 學

 

平成22年度診療報酬改定に関する要望書について

 
精神科における他科受診について、別紙の通り要望いたします。

 

精神科病院における他科受診について

精神科病院では、入院中の患者で身体合併症の割合は 47.7%と5割弱を占めており、その内訳は「日常的な管理」は 33.0%、「特別な管理」を必要とする身体合併症が14.7%を占めている。疾患分類では、「内分泌、栄養及び代謝疾患」=20.3%、「循環器系疾 患」=13.9%、「消化器系疾患」=11.8%、「神経系疾患」=11.5%、「筋骨格系及び結合組織の疾患」等が全体の67%の状況である。 (平成19年度厚生労働科学研究 精神医療の質的実態把握と最適化に関する総合研究 分担研究「精神病床の利用状況に関する調査」報告書 (分担研究者  松原三郎)より)
 
1)ほとんどの単科精神科病院は他科受診実施
 日精協の調査では、平成21年6月の特定入院料の他科受診割合は、78.3%の病院が30%算定を実施しており、その他に1病院平均51,482円/月 支払っている状況である。また、算定延べ日数は、1病院7.5日と一ヶ月に一週間は他科受診をしている状況である。また、入院基本料での他科受診は 81.2%実施しており、今回の改定における影響は多大である。
 精神科の単科病院は、日精協の会員病院の80.0%を占めており、上述した他科受診割合78.3%から「単科精神科病院」は「他科受診」を100%に近い割合で実施されていることが推測される。
 
2)付添が伴う他科受診
 精神科病院の特徴としては、「他科受診」の場合、精神疾患の特徴から看護職員が他科に付き添いを行っている現状がある。この人件費の負担は病院負担となり、入院基本料の減点、人件費負担と二重の負担が強いられている。
 
3)他科より影響のある「特定入院料」
 精神科の特定入院料の診療報酬の特徴は、他科の算定方法は「算定できない項目」を「診療に係る費用を含む」と表現することにより、列挙されなかった項目は全て算定可能となり、かなりの項目が算定できる。
 しかし、精神科の特定入院料は「算定できる項目」を列挙しているため、列挙されていない項目は全て算定できない状況で、非常に狭い範囲の算定となってい るのが状況である。この内容が、「特定入院料等の診療に係る費用」に大きく影響している。 例えば、「透析」治療の場合、「診療に係る費用」は含まれている(薬も含む)ため、その費用は病院が支払、かつ、70%を控除され、僅か30%となる状況 が週3回として月に12回控除されている。精神疾患の透析患者を受け入れる病院体制が少ないため、このような事態が起きているのが現状である。また、精神 疾患の癌患者も同様で、治療後直ぐに退院して、精神科に再入院する例が多く、他科受診を強いられ、病院の多くが負担を強いられている。
 皮膚科、眼科の場合、受診日における投薬を「軟膏チューブ」、「点眼液」の一部を実施することは不可能で、現実からかけ離れている状況である。
 
4)「受診日の投薬又は注射の費用」について
 今回の改定で、括弧の説明書き「当該専門的な診療科に特有な薬剤を用いた投薬又は注射に係る費用を除く」が、「当該専門的な診療科に特有な薬剤を用いた受診日の投薬又は注射に係る費用を除き、処方料、処方箋料及び外来化学療法加算を含む。」と改定になった(太線、下線が改定)。
 
以上のことより、
 
特定入院料における他科受診の投薬、注射は、入院基本料の出来高と同様に「当該専門的な診療に特有な薬剤を用いた投薬に関する費用は算定できる」ように要望する。
 
また、特定入院料においては、新設当時「診療に係る費用」に他科受診の費用まで含まれていたとは考えにくく(他科受診実施状況の情報が当初はない)、入院基本料の出来高と同様に30%の控除を併せて要望する。