ABOUT 日精協について

「精神科医療および精神保健・福祉の積極的推進の訴え」 (略称:七者懇松沢宣言) -七者懇-

いま国民のこころは深刻な状況にあります。平成 10年から毎年3万人以上の人々が自殺によって命をなくしており、一向に減る気配がないことに端的にあらわ れています。精神科を受診する人も急増し、平成17年には推計300万人を超え、その後も増加が続いています。約40人に1人が精神科を受診していること になります。精神疾患は、がんや循環器疾患と並んで3大疾患であることが、わが国でも明らかになりました(裏面の図をご参照ください)。 したがって、それに見合う精神科医療サービスの質と量の充実が求められていますが、国の重点施策である4疾病、5事業には精神疾患は含まれておりません し、精神科医療の特性を考慮し、他の診療科とバランスの取れた看護基準、診療報酬、人員配置基準も設けられておりません。
 
厚生労働省の「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」最終答申(平成21年9月)には、精神疾患患者が地域で生活できるようにするための種々 の改善策が提案されていますが、それらを含めて、精神科医療および精神保健・福祉を真に実現するためには、その基本的条件が大胆に改善される必要がありま す。
 
私たち精神科七者懇談会は、創立130周年記念日に、わが国の公的精神科医療発祥の地、松沢病院に集い、国民の精神的健康の増進、精神疾患の予防や防止、 精神疾患の医療の担い手として、質の高い信頼される精神科医療および精神保健・福祉を積極的に推進するために、以下の事項の実現を強く訴えることにしまし た。国民の皆さまのご理解とご支援を切にお願いするものです。

  • 精神疾患はがん、循環器疾患とともに死亡や生 活障害という国民への疾病負担が最も大きい3大疾患の1つです。多くが若年発症のため、影響は長期・生涯に及 びます。この事実に基づき、「精神疾患対策基本法」(仮称)を制定し、精神科医療および精神保健・福祉の総合的施策を実現してください。
  • 精神疾患を病んでも地域で生活できるように、いつでも相談が受けられ、ご本人もご家族も一貫した医療と生活支援が受けられるような体制と施策を早急に具体化してください。
  • 精神科医療の特性を考慮し、他の診療科とバランスの取れた看護基準、診療報酬、人員配置基準を設けてください。
  • 精神疾患に対する偏見の減少、国民の精神保健能力の改善のために、小・中・高校における精神保健教育を充実し、地域、職場においても精神保健教育や偏見改善の取り組みを強化してください。
  • 精神科医療費と精神保健・福祉費を大幅に増やしてください。
  • 国は国民の健康を守り促進する施策を充実させるために十分な医療費を確保してください。

平成21年11月7日、東京都立松沢病院にて、

精神科七者懇談会
  国立精神医療施設長協議会
  精神医学講座担当者会議
  全国自治体病院協議会精神科特別部会
  日本精神科病院協会
  日本精神神経科診療所協会
  日本精神神経学会
  日本総合病院精神医学会

●図/日本における疾病負担(PDF)