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「持効性注射製剤リスパダールコンスタの薬価収載」に関する見解と要望-七者懇-

2009/08/13

厚生労働省保険局医療課
課長 佐藤 敏信 殿

中央社会保険医療協議会
会長 遠藤 久夫 殿

精神科七者懇談会
国立精神医療施設長協議会 会長  平野  誠
精神医学講座担当者会議 会長  鹿島 晴雄
全国自治体病院協議会 会長  邉見 公雄
日本精神科病院協会 会長  鮫島  健
日本精神神経科診療所協会 会長  三野  進
日本精神神経学会 理事長 鹿島 晴雄
日本総合病院精神医学会 理事長 黒木 宣夫

6月10日の中央社会保険医療協議会総会で、精神神経用剤「リスパダールコンスタ筋注用25mg」「同37.5mg」「同筋注用50mg」の薬価収載が了承され、6月19日に薬価収載されました。
「リスパダールコンスタ」(一般名リスペリドン持効性懸濁注射液)は、第二世代抗精神病薬の持効性注射製剤で、2週に1回筋肉内投与することにより経口薬継続内服と同等の臨床効果が得られるとされ、精神科臨床の現場に新しい治療選択を提供するものと考えられています。
 
しかし、収載によって明らかにされた薬価は

25mg1キット(懸濁用液付) 23,520円 (1日薬価1,680円)
37.5mg1キット(懸濁用液付) 30,997円
50mg1キット(懸濁用液付) 37,703円

とされており、著しい高算定となっていることが判明しました。

 
6月25日の精神科七者懇談会総会での討議の結果、本注射製剤の高薬価算定は精神科医療にとって看過できない問題であるとの結論を得ました。以下に精神科七者懇談会の見解をまとめるとともに、薬価について再検討を行っていただくよう強く要望いたします。

  1. 本注射製剤を用法通り25mgないし50mg を2週に1回筋肉内投与すれば、1ヶ月の薬剤費は47,040~75,406円に達します。本剤は統合失調症 に対する持効性注射製剤であることから、本剤を用いた維持治療は長期間継続することが前提となります。障害年金支給月額に相当する高価な注射製剤の長期投 与を、患者が選択するのは現状では困難です。本剤の有用性を患者が理解し投与を望んでも、あまりに高い経済的負担から断念せざるを得ません。
  2. 本注射製剤と同等の臨床効果が得られるリスパダール錠の1日経口投与 量は2~6mgとされていますが、同剤の1日薬価は76.2~228.6円、30日薬 価は2,286~6,858円です。「リスパダールコンスタ」は経口薬の11倍(経口薬6mgと50mg注射の30日薬価比)~21倍(経口2mgと 25mg注射の薬価比)の薬価であり、著しく高い倍率での算定がなされています。しかし、中医協総会に提出された「薬価算定組織における検討結果のまと め」でも、この高倍率算定は画期性、有用性が特別高かったわけではなく、5%の加算が認められているのみです。
  3. 社会復帰後の治療継続に有用性が期待される本注 射製剤の高薬価算定は、患者にとって新たな治療選択を奪うものであるばかりか、患者・家族に不利益をもたら し、精神科医療の今後の発展を阻害するものです。できうる限り早い時期に、中医協において本薬剤薬価の再検討を行っていただくよう、精神科七者懇談会は強 く要望いたします。

以上