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平成22年度 診療報酬改定に係る要望書(第2報) -日病協-
厚生労働省保険局長 外口 崇 殿
日本病院団体協議会は、崩壊しつつある病院医療の再生のために、平成21年4月16日付で「平成22年度診療報酬改定に係る要望書(第1報)」を提出した。
第1報では、医師不足に起因した日本の病院医療崩壊の現状、看護師不足に起因した病院閉鎖の現状を述べるとともに、下記の2項目を要望した。
1.入院基本料の根拠に基づく算定方式の創設と増額
2.介護(看護補助)業務の確立と看護基準の柔軟な運用
この度、平成22年度診療報酬改定において、上記2項目とともに病院医療全般に関して次の事項を要望する。
1.入院医療全般について
(1)入院基本料の根拠に基づく算定方式の創設と増額
病院医療の再生に向け、根拠に基づく算定方式の創設と入院基本料の増額を要望する。
- 平成22年改定においては、医療経済実態調査、各病院団体の経営調査等の結果を反映し、実態に即した入院基本料の増額を要望する。
- 短中期的課題として、根拠に基づく入院基本料の算定方式の創設が必須である。このためには、診療報酬調査専門組織医療機関のコスト調査分科会等、専門的な議論が可能な組織での立案、検証が行われるべきである。
- また、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、リハ職員、MSW、PSW等の多専門職によるチーム医療を評価し、入院基本料に加算することを要望する。
(2) 介護(看護補助)業務の確立と看護基準の柔軟な運用
医療の安全と質を向上させるとともに、慢性的に不足している看護職員にとって働きやすい職場を創造するために、以下を要望する。
- 7:1、10:1入院基本料の病棟においても、現実には介護(看護補助)業務も多く、介護(看護補助)職を配置せざるを得ない。上記病棟において、看護補助加算を算定可能とするとともに、介護(看護補助)職の夜勤に対する評価を要望する。
- 病棟における患者の状態によっては、医療安全のために3名以上の夜勤看護師が必要となる。さらに、小規模な病棟では月平均夜勤72時間の基準を満 たすことは不可能である。看護基準において、72時間の制限を緩和するとともに、2人夜勤体制は看護職員不足等の現実を考慮し、その一部を介護(看護補 助)職の適応を認めるなど、現場の状況に応じた柔軟な対応を可能とすることを要望する。
- 日勤のみ勤務者や短時間労働者の雇用を促進するために、月平均夜勤時間の算定において、月夜勤時間数16時間以下の者も含めることを要望する。
- 1週あたり40時間労働は日本における全産業の労働時間の基本である。夜勤専従看護師においても例外ではなく、このように診療報酬によって労働時間の制限を規定することは避けるべきである。
(3) 医師事務作業補助体制加算の適用拡大
- 入院医療全般にわたり医師事務作業は増加しており、その補助体制加算の点数を引き上げるとともに、すべての病院に対する加算に適用拡大することを要望する。
(4) 診療情報の電子化加算の正当な評価
- 電子カルテやオンラインレセプトなど診療情報のIT化を推進するため、必要な費用を診療報酬上正当に評価した電子化加算を要望する。
2.急性期入院医療について
(1) 「入院時医学管理加算」の見直し
- 平成20年度改定での見直しは現実に即したものではない。現状を勘案した運用に変更すべきである。
(2) 「救急搬送受け入れ加算」の創設と「緊急手術加算」の増額
- 円滑な救急医療体制の構築においては、三次救急(救命救急センター)への患者一極集中を緩和する必要がある。しかしながら、二次救急医療体制の維 持や緊急手術に備えるためには、多くの人件費等の固定支出が必要である。「救急搬送受け入れ加算」の創設と「緊急手術加算」の増額を要望する。
(3) DPC救急入院時の評価
- DPC対象病院への救急入院時、診断確定までの診療報酬を出来高方式とすることを要望する。
3.慢性期入院医療について
(1)医療療養病床における緊急対応の評価
- 在宅や介護保険施設などで療養中の慢性期患者が急変した場合の入院について、「緊急対応入院加算」の創設を要望する。
(2)急性期病床からの積極的受け入れの評価
- 急性期病棟から、医療区分2、3に相当する患者を受け入れる場合、30日間の「医療対応初期加算」の創設を要望する。
4.精神科医療について
(1)精神病棟入院基本料の増額
- 精神科の入院料は他科に比べ著しく低く、精神科入院基本料の大幅な増額を要望する。
(2)精神科救急・合併症入院料の算定要件の緩和
- 精神科疾患患者の身体合併症への対応を図るため、算定要件の大幅な緩和を要望する。
(3)児童精神科医療の充実
- 児童精神科医療の充実を要望する。
5.リハビリテーションについて
(1) 急性期病院におけるリハビリテーションの評価
- ベッドサイド・リハが中心となる急性期病院については、「施設基準」ではなく、「人員配置基準」として評価することを要望する。
(2) リハビリテーション起算日の変更
- 各疾患において、リハビリテーションの開始はその個々の病態において大きく異なる。リハビリテーション起算日は、リハビリテーション開始日とすることを要望する。
(3) 維持期リハビリテーションの適用拡大
- 医学的に長期にわたるリハビリテーションを要する疾患・病態について、根拠に基づく適用の拡大を要望する。
6.外来診療について
外来の診療報酬については、病院・診療所の一物多価を改めるとともに、現行の同日多科受診時における第2科以降の診療報酬の算定不可を改める必要がある。
- 再診料等の同一診療行為は同一診療報酬とすることを要望する。
- 同日多科受診時、第2科以降もすべて同様の算定を可能とすることを要望する。
以上
平成21年7月31日
日本病院団体協議会 | 議長 小山信彌 |
国立大学附属病院長会議 | 常置委員会委員長 河野陽一 |
独立行政法人国立病院機構 | 理事長 矢崎義雄 |
全国公私病院連盟 | 会長 竹内正也 |
社団法人全国自治体病院協議会 | 会長 邉見公雄 |
社団法人全日本病院協会 | 会長 西澤寛俊 |
社団法人日本医療法人協会 | 会長 日野頌三 |
社団法人日本私立医科大学協会 | 病院部会担当理事 小川信彌 |
社団法人日本精神科病院協会 | 会長 鮫島 健 |
社団法人日本病院会 | 会長 山本修三 |
一般社団法人日本慢性期医療協会 | 会長 武久洋三 |
独立行政法人労働者健康福祉機構 | 理事長 伊藤庄平 |