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能登半島地震におけるDPAT活動

 日本精神科病院協会は、平成27年より厚生労働省から委託されDPAT事務局を運営しています。DPATとは、災害派遣精神医療チーム(Disaster Psychiatric Assistance Team)の略で、DPAT活動要領(厚生労働省 令和5年3月31日改正)に基づき、大規模災害が発生した場合に被災地域の精神保健医療ニーズへの対応や専門性の高い精神科医療の提供等を行うために都道府県によって組織された、専門的な研修と訓練を受けたチームです。能登半島地震ではDPATの役割が周知され、被災された方々のメンタルヘルスや支援者の支援などの心のケアの重要性が認識されたことから、発災後の早い段階から被災地で活動したDPAT先遣隊(発災から概ね48時間以内に被災した都道府県において活動できる隊)の活動が注目されました。

 今回、石川県からの県外のDPAT先遣隊の派遣要請を受け、1月31日までに全国のDPAT先遣隊登録医療機関120施設(令和5年7月時点)から石川県を含む43都道府県より延べ116隊のDPAT先遣隊が被災地で活動しました。具体的には石川県のDPAT隊は、調整本部や活動拠点本部において被災地で活動するDPATの指揮や調整、関係機関との連絡や調整、被災情報の収集等を、また県外のDPAT先遣隊は上記の各本部の業務支援や指揮所の運営、避難所の巡回による精神医療ニーズへの対応、精神科的な緊急性が高いケースの診察やトリアージ、支援者支援等の活動を行いました。東日本大震災におけるこころのケアチームや熊本地震におけるDPATの活動と比較しても発災後の急性期から多くのDPAT先遣隊が被災地で活動したことになり、派遣調整やDPAT活動にご協力頂いた全国の医療機関や自治体関係者、DPAT関係者の皆様に心より感謝申し上げます。

 現在被災地の精神保健医療ニーズへ対応するために、石川県内の精神医療福祉関係者や他の支援団体の関係者の皆様が協力して中長期を見据えた体制の構築が検討されています。被災地の支援ニーズや精神医療の提供体制、他の支援機関の活動状況等を考慮し、2月12日をもって県外のDPAT先遣隊の活動は終了することになりましたが、被災地の関係者の皆様が支援活動を継続できるように当協会としても中長期にわたる支援に取り組んで参ります。協会会員病院におかれましても引き続き被災地の情報や支援に関係するニーズを注視して頂くとともに、今後も各都道府県で進められているDPAT整備事業とDPAT事務局の活動へのご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

DPATの活動やDPAT活動要綱、DPAT事務局についてはこちらをご参照ください。

(日精協 病院経営管理委員会災害部会担当理事(DPAT担当) 深澤 隆)