忖度報道

2017年8月 山崎 學

 東京都議会議員選挙が都民ファーストの会の地滑り的な勝利で終わった。森友学園、加計学園問題に始まり、選挙終盤では豊田真由子元内閣府大臣政務官の暴言、加計学園からの下村博文自由民主党東京都支部連合会長に対する200万円の政治献金問題、稲田朋美防衛大臣の不適切な選挙応援等、与党にとって悪夢としか言いようのない事件が続いた。

 一連の発端になった森友学園問題については、そもそも豊中市が沼地を買い取って資源ごみ処理場として開発許可をとり、埋め戻して国土交通省に伊丹空港騒音対策として買い取らせた土地を、傷ものと知りながら森友学園が小学校設置場所として買い取り許可を申請したところから怪しいと思っている。国有財産を不当に安い価格で森友学園に売却したことが政治的忖度と報道されているが、譲渡価格として汚染対策費で8億円を値引きしたのに、学園側が汚染対策に1億3,000万円しか使わなかったことが問題なのであり、その差額は国庫に返済されなければならないものである。さらに問題なのは、当該敷地に隣接している同様の土地を、民主党政権時代に当該敷地を選挙区としていた辻元清美元国土交通副大臣の口利きで汚染対策費の14億円が値引きされ、公園予定地として豊中市に払い下げられているのに、この問題についてほとんど報道されていないことである。豊中市が汚染対策費として14億円使っていなければ、実際に払われた汚染対策費との差額を国庫に返還しなければならない。しかも、自身の選挙区の国有地売買に現役の副大臣が政治的忖度をしたことの是非についてなぜ追及の手が入らないのか、摩訶不思議である。

 加計学園問題も最初からバイアスがかかった報道がなされている。平成11年から三期12年愛媛県知事を務めた加戸守行元知事は、7月10日に開かれた衆参両院の閉会中審査で、在任中に鳥インフルエンザが発生し、米国では狂牛病、平成22年には口蹄疫が発生したことから公務員獣医師不足を実感し、愛媛県に獣医学部を招致するべく関係機関に働きかけてきたと述べている。自民党政権下の岩盤規制で立ち消えになった獣医学部設置計画が民主党政権下の鳩山内閣時代に「実施に向けて検討」となり、安倍政権下の岩盤規制緩和で設置計画が進んでいたところ、前川喜平元文科省事務次官の「総理の忖度発言」で頓挫している。加えて前川元事務次官が出会い系バーに頻回に通っていたという読売新聞の報道について、マスコミの恥と他紙による中傷が続いている。前川元事務次官は出会い系バーに頻回に通い、女性を連れ出して金銭を供与していたと取材に応じて恥じない。現職の文科省事務次官が、新宿の怪しげなバーに女性の貧困調査とうそぶいて頻回に通ってよいはずがない。かような品性しかもち合わせていない人物が正義の士とは笑わせる。ぜひ若い男性の貧困調査もしてもらおう。また、文科省から出たと言われている忖度文書と自身の関係性についても閉会中審査ではっきり否定しないまま答弁を保留している。

 加計学園問題は役者がそろい過ぎている。麻生太郎自民党獣医師問題議連会長、鳩山邦夫補選で林芳正参議院議員秘書をしていた自身の長男を麻生・古賀連合軍の推薦を受けて福岡6区衆議院補選に出した、日本獣医師会会長を務めている蔵内勇夫自民党福岡県連会長、国会審議の場で加計学園問題を究明している父(香川県獣医師会副会長)・弟が獣医師で、日本獣医師連盟から2012年に100万円の政治献金を受けていた玉木雄一郎民進党幹事長代理(獣医師問題議員連盟事務局長)と、与野党合わせた包囲網が出来上がっている。

 小池百合子東京都知事にもがっかりした。オリンピック予算を再点検して400億円削減したと豪語するが、代わりに都債を400億円発行するというのでは、単に債務の付け替えをしただけで最後は都民が負担することになる。オリンピックの試合会場についても復興関連で宮城、福島等に会場を移すと期待させておいて、結局は東京に収まってしまった。これでは小池都知事の気まぐれに東京都民や宮城・福島県民が翻弄されただけである。

 その誕生をマスコミが持てはやし、国民が熱狂した小泉純一郎・竹中平蔵コンビはアメリカ政府の要求通りに市場原理主義を導入し、非正規労働者を増やして貧富の差を拡大した。次に持てはやした民主党政権は公共工事から人への投資をし、多くの中小規模の建築会社・工務店を倒産に追い込み、地域雇用、災害に対する社会基盤を壊した。民主党政権は官僚主導から政治主導へとうそぶいたが、優秀な官僚機構の前にひれ伏す結果になった。安倍政権になり、政治主導はけしからんと民主党は追及するが、己の主張の自己矛盾に気づいていない。

 今回の騒動を見ると、不勉強なのか恣意的にそうしているのかわからないが、マスコミの無責任な煽りに政治家・国民が踊らされているだけで、成熟した議論がないまま無駄に国費が費やされている。

 古今東西を問わず、政治家の質は民度に比例するものである。

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