厚生労働省老人保健健康増進等事業 報告書
「治療可能な認知症に対する医療のあり方に関する調査研究事業」

 日本精神科病院協会で受託した令和元年度厚生労働省老人保健健康増進等事業「治療可能な認知症に対する医療のあり方に関する調査研究事業」(テーマ番号93)の報告書が完成しました。
 この調査研究事業は、治療可能な認知症の診断に必要な問診、血液検査、画像診断、脳波検査等の実態を把握するために、全国の認知症疾患医療センター456施設に対して調査票を送付し279施設(回収率61.2%)より回答を得ました。調査票は施設票と実態調査票を作成し、施設票では施設概要、診断手順、問診項目、実施する検査(認知機能・心理検査、画像検査、脳波検査、血液検査等)に関して、実態調査票では認知機能の低下を示す①てんかん ②正常圧水頭症 ③高齢者うつ病 ④せん妄 各々に関して診断のための検査・診療内容と治療に関して回答を得ました。調査票より得られた結果を検討委員会で検討を重ね、外部有識者との意見交換会を経て、報告書を作成しました。
 施設票よりの結果として、認知症疾患医療センターにおける精神科の果たす役割は大きいことが示されました。また、診断のため血液検査(血算、甲状腺検査、ビタミンB1、ビタミンB12等)、心電図、CTなどの画像検査は約80%以上のセンターで実施されていました。実態調査票よりの結果として、認知症との鑑別が必要で治療可能な疾患として①てんかん ②正常圧水頭症 ③高齢者うつ病 ④せん妄の4疾患に関して診断・治療実態の調査を行いましたが、いずれの疾患に関しても認知症評価、検査を実施し診断を行い、適切な診療科での治療に結びつけていました。認知症疾患医療センターにおいては、様々な認知機能低下の原因となる疾患の早期発見のための検査や、治療及び介入のための診断や鑑別は、おおむね適切に行われていることが確認されました。しかしながら、専門性の高い診断技術が十分に普及しているとは言い難い面もみられました。今後、必要に応じた検査機器の共同利用や診察技術の研修などが認知症疾患医療センターの診断や鑑別の質の向上に役立つと思われました。


 
報告書はこちらから
 

(検討委員会委員長 武田滋利)

 

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