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山崎会長就任挨拶

平成27年6月12日開催された公益社団法人日本精神科病院協会第7回社員総会において、三期目の会長に御推挙いただき、責任の重さを痛感しております。7月から新執行部一丸となって、地域に開かれた精神科医療提供体制の構築に邁進する所存であります。会員諸先生の御指導・御鞭撻をお願い申し上げます。

近年進行している少子高齢化社会の中で、プライマリーバランス黒字化に向けて活発な議論が始まっています。4月27日財務省主計局から「当面の社会保障制度改革の基本的考え方」が打ち出されました。その中で、公的保険給付範囲の見直しとして、後発医薬品使用割合目標の引き上げ、入院患者の居室代見直し、受診時定額負担・保険免責制導入、薬価改正の例年実施、調剤医療費の適正化、高額な生活習慣病治療薬処方の在り方、負担能力に応じた医療・介護保険の負担割合の見直し等が検討されています。また、医療提供体制の改革として、7対1 入院基本料病床の早期・円滑な分化・転換、慢性期(主に医療療養病床)の区分条件の見直し、外来医療費の地域間格差の解消、医療機関に対する第三者評価の制度的原則化、医薬品等に対する費用対効果評価、保険者・外部民間業者によるレセプト審査の強化等が書かれています。

また、5月19日には政府の経済財政諮問会議で 2020年度のプライマリーバランス黒字化を目指して「経済再生と両立する財政健全化計画の策定に向けた論点整理・各論」が発表されました。具体的な内容 として、「医療費適正化の改革が進まない地域における診療報酬引き下げの活用」「標準外来医療費の設定」後発医薬品の利用目標の引き上げ」「報酬本体水準一般について、過年度のデフレ部分について段階的なマイナス調整を次回診療報酬の改定に反映させる」「1.7兆円に及ぶ調剤医療費(技術料)の合理化」が 挙げられています。これらの検討経過を検証すると、最初に適正化の名を借りた削減ありきで、医療提供者・国民の声を反映する場がないのが気がかりです。診療報酬改定も小泉内閣から改定幅を内閣が決めて閣議決定するために、中医協は改定幅について財政中立の考え方に沿っての値決めをする場所になってしまいま した。また、平成18年改正で特定療養費制度が見直され、適正な医療の効率的な提供を行う観点から評価を行う「評価療養」(将来保険適応を目指すもの) と、被保険者の選定に係る「選定療養」(保険適応としないもの)に区分されましたが、この時点で混合診療が導入され、患者負担を増やす仕組みが導入されたと考えるべきです。270万人の第一次ベビーブーマーが後期高齢者になる2025年問題を見据え、今後いかにして高齢者に対する負担割合を増やしていくかが、2018年診療報酬改定、2020年診療・介護報酬同時改定の焦点になってきます。少子高齢化によって精神科医療提供体制も大きく変わることが予想されますが、諸先生の知恵を拝借しながらこの難関に対処していくつもりでおります。