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フランス・イタリア医療施設視察研修旅行 報告


今年の日本精神科病院協会の医療施設視察研修旅行は、926日(金)から105日(日)まで10日間の日程で行われ、フランス・パリ近郊の私立病院とイタリア・ベニス近郊の私立病院及びジェノバの精神障害者施設を訪問しました。全日程とても天候に恵まれたせいか、各施設とも明るいイメージが心に残った研修旅行となりました。

 パリではクリニックドルゲモンに訪問。ここは3人の医師が共同で設立したプライベート病院でベッド数60床、主に成人の精神疾患の治療を中心として、精神科医、GP、 心理学者、看護師などの専門家チームが揃っており、高い医療と患者さんに対する気配りで信頼されている病院だそうです。ただ内部の見学は出来ず、外部のみ 見学が許されたため、詳しいことを聞くことは出来ませんでした。玄関は拘置所さながらの門と警備がされており、建物は新しく近代的でしたが、周囲はコンク リートの壁で覆われており、自由な精神科医療を行っている雰囲気はありませんでした。

ベニスではヴィラナポレオンを訪問。イタリアのプライベート病院を見学しました。こちらは85床の精神科病棟と広大な敷地の中にケア施設を併設していました。ベニス周辺では最も規模が大きく、設備等も充実していて、精神科治療とリハビリを中心にセカンドオピニオン病院の役割も持っているとの事でした。病院の医師数は7名、心理士4名、看護師25名、リハビリ4名、PSW2名がチームで治療しているそうです。日本の民間精神科病院と似ている印象で明るく、職員(医師、オーナー含む)もフランクな印象を持ちました。

 イタリア・ジェノバでは、6つある精神保健センターの1つ を見学しました。精神保健センターを統括している責任者よりジェノバの精神医療について説明を受けた後、センターを見学しました。精神科治療とリハビリ機 能及び居住機能も有していました。また施設独自のチーム以外に、必要に応じて社会福祉の支援団体やボランティア団体などからも協力を得て運営されていま す。自己管理、日々のアクティビティ、職業斡旋も視野に入れたプログラムの実施に取り組んでいるそうです。地中海に面した温暖な気候のせいか職員もそこに 来る患者さんもフランクで明るくオープンな感じを受けました。イタリアでは公的病院のベッド削減や更なる入院日数の短期化、施設においてもデイケアの日数 削減を迫られ、大変な苦境に立たされている現状があるようです。但し、私立の病院や施設に対して削減を求められている訳ではなく、これ以上増えることも減 ることもないとの事でした。

 最後にヴィラナポレオンのフランコガローナ院長、オーナーのブルーノベッルッシ氏、精神保健センターのマルコヴァッジ医師の方々、本当に丁寧にしかもフランクに接して頂いた事に改めて感謝します。

 東員病院 理事長 宮内誠