2018年度 日本精神科医学会学術教育研修会報告 PSW部門

期日/2018年8月9日(木)~10日(金)
会場/ANAクラウンプラザホテル福岡(福岡県)

 日本精神科医学会学術教育研修会PSW部門は、平成30年8月9日(木)、10日(金)の2日間にわたって福岡市のANAクラウンプラザホテルにて「温故知新・原点回帰 そして次の時代へ」のテーマで開催され、北海道から沖縄まで251名の受講生が参加した。

 開講式では、福岡県精神科病院協会副会長の大村重成先生が開講の挨拶をされ、続いて日本精神科医学会の山崎學学会長が挨拶をされた。来賓として大山和宏様(福岡県精神保健福祉士協会・会長)よりご挨拶をいただいた。

 講演1は「精神科医療の展望」と題して、山崎學日精協会長が講演をされた。PSW部門であることもあり、わが国で地域の受け皿の整備がなぜ難しくなっているのか、過去を正確に理解することの大切さを強調しながら、精神保健福祉行政の歩みと精神保健福祉の動向について説明された。また、わが国の将来の問題とそれを見越した精神医療の展望、社会保障のこと等にも触れられた。

 講演2では、医療法人優なぎ会 雁の巣病院理事長 熊谷雅之先生による「精神科病院の精神保健福祉士へ期待する役割」と題したシンポジウムの前の基調講演があった。

 最近はPSWの業務は多様化している。医療・保健・福祉サービスのすべての領域における、受診相談から退院・再発予防までの円滑な進行の担い手であり、ケースマネージャーとしての中心的役割を担っている。また、医療と介護や地域との連携の中心であり、心理社会的プログラムの重要なメンバーでもある。その職場も精神医療機関や社会復帰施設だけでなく、行政や教育などの分野にも拡大している。そのようななかPSWとして、患者・家族が主人公であり、その自己決定を尊重し、その人と状況の全体性を考え、人権を尊重する視点が必要であり、より良い援助活動を行おうとする向上心や探求心が必要であると述べられた。

 シンポジウムは、「多様化する精神保健福祉士の役割―それぞれの専門分野から―」と題して熊谷雅之先生と西南女学院大学 保健福祉学部福祉学科教授 今村浩司先生の座長にて行われた。

 前半は6名のPSWの先生方から発表がなされた。まず、「精神科救急」について医療法人社団翠会八幡厚生病院 中沼亮太先生が発表され、「地域移行機能強化病棟」を医療法人昌和会見立病院 柴田亜希先生、「生活支援」を医療法人牧和会ピアッツア桜台 前田秀和先生、「認知症疾患医療センター」を医療法人小倉蒲生病院 和田洋臣先生、「うつ病・ストレスケア」を医療法人社団新光会不知火クリニック 田村智美先生、最後に「アディクション」について医療法人優なぎ会 雁の巣病院 稲葉宣行先生が発表された。それぞれの職場での立場から、仕事の内容や考え方、PSWとしての立ち位置や姿勢などを話された。PSWは精神疾患や精神保健福祉法についての知識をもったうえで、地域の資源を活用しながら地域と連携することができる。また、さまざまな情報収集と情報発信を通して、ケースワーカーとしての患者・家族への支援や多職種と連携したサポートなどができるため、コメディカルの中心として患者さん自身の生き方そのものに関わっていくことができる重要な職業である。先生方のお話から現在のPSWの仕事の多様性とさまざまな分野での活躍を知ることができ、とても勉強になる内容だった。

 後半は、壇上にて討論会が行われ、聴講者からの質問が多数出されて、熱心な討論が行われた。

 1日目の日程が終了後、同会場にて懇親会が催された。立食形式で全国から集まった受講生同士が名刺交換等を行って親交を深めていた。アトラクションとして行われたビンゴゲームでは、福岡ならではの商品が並び大いに盛り上がった。

 2日目の講演3は、「今精神保健福祉士に本当に求められていること〜臨床・制度・社会等の多面的視点からの一考〜」と題して、座長も務めていただいた今村浩司先生が講演された。精神保健福祉士の役割について「温故知新・原点回帰」という本研修会のテーマに沿ってお話しされ、精神科病院の長期入院者の退院支援という役割から活動範囲も支援の内容も多様化しているが、精神科医療機関の現実をちゃんと知ったうえで地域のことに目を向けるとさらに良い援助になると示唆された。

 講演4は、「山笠と博多について」と題して「博多っ子純情」の漫画で有名な長谷川法世先生(画漫堂)にお話しいただいた。たくさんの写真やご自身で描いたイラストなどを用いて山笠の歴史について話された。山笠を通して営まれる世代を超えたさまざまなドラマを垣間見て、長谷川先生の溢れんばかりの山笠愛、博多愛に感銘を受けた。

 研修会の最後に閉講式が執り行われた。日本精神科医学会学会長の代理で学術研修分科会吉田委員長から、受講証授与および日本精神科病院協会福岡県支部に対して感謝状の授与を行った。最後に福岡県精神科病院協会大村重成副会長から閉会の挨拶があり、全日程を無事に終了した。

(日本精神科医学会学術教育推進制度学術研修分科会/平安 明 吉田 建世)

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