2015年度 日本精神科医学会学術教育研修会報告 栄養士部門

期日/2015年10月15日(木)~16日(金)
会場/福井県県民ホール AOSSA(福井県)

平成27年度の日本精神科医学会学術教育研修会栄養士部門は、平成27年10月15~16日(木~金)の両日にわたり、日精協福井県支部のご担当により、福井県県民ホールAOSSA(アオッサ)で開催された。「精神医療における心と身体の栄養を考える~精神科栄養士としての関わり方~」としたテーマのもと、北海道から沖縄の全国から140名の参加者を得て盛大に行われた。

開講式では、日精協福井県支部長・中川博幾先生の開会挨拶に引き続いて、日本精神科医学会学会長・山崎學先生がご挨拶をされ、来賓挨拶として福井県健康福祉部長・山内和芳様と福井県医師会会長・大中正光様よりご祝辞をいただいた。

第1日目の特別講演では、「精神科医療の将来展望」と題して日精協山崎學会長(座長:松原病院 代表理事・松原六郎先生)が講演された。まずは精神保健福祉行政の歩みについて、これまでの詳細な歴史をわかりやすく説明された。精神保健福祉の動向については、最新のデータ分析に基づき、日本の精神科医療の素晴らしさを話され、分析の違いによるWHOの誤解など問題提起もされた。また、認知症は精神科こそが診るべきもので、いまだに多くの課題が残っていること、精神科医療の将来像については、調剤薬局やアメリカの医療保険制度に触れ、その問題点など行政の指針を捉えて、今後の精神科医療の課題を説明された。

ランチョンセミナーでは、「栄養と神経伝達物質」と題して医王ヶ丘病院・魚谷千草先生(座長:三精病院 副院長・堀江端先生)よりご講演していただき、神経伝達物質は栄養から作られること、たんぱく質やビタミン群、血糖、ホルモンと身体および精神症状との関連などをわかりやすく話していただいた。

午後の講演では、「口から食べる幸せをともに考える~栄養管理における口腔機能の重要性~」と題して、金沢・福井 松原病院 歯科医長・松原五郎先生(座長:福仁会病院 院長・中川博幾先生)がご講演された。歯や舌、唾液、咀嚼の働きやその重要性についてのお話から、歯周病菌が全身に及ぼす影響、誤嚥性肺炎の防止における口腔ケアの重要性、高齢者における低栄養の問題などを幅広く、かつわかりやすくお話しいただいた。

続いてシンポジウムでは、座長のたけとう病院 理事長・院長 武藤寛先生の司会のもと、「精神医療における心と身体の栄養を考える」をテーマに、1)「基本的精神症状と栄養管理について」と題して福井病院 院長・村山順一先生より、2)「抗精神病薬の身体に及ぼす副作用について」と題して、たけとう病院 薬局長・宮下直志先生より、3)「精神科におけるコミュニケーションのこつ」と題して福井病院 臨床心理士・廣瀬利子先生より、4)「精神科(認定)栄養士として患者様のQOLを高める関わり方~心身ともに健康的な栄養を考える~」と題して曽我病院 栄養科長・西宮弘之先生より、それぞれの専門の立場からお話しいただいた。フロアからは多くの質問があり、活発なディスカッションが行われた。

初日最後の文化講演では、「今こそひとつになろう! 福丼県(ふくどんけん)」と題して、福丼県(ふくどんけん)プロジェクト実行委員長・福井の老舗洋食店「グリルあまから」代表・野坂昌之様(座長:敦賀温泉病院 理事長・院長 玉井顯先生)よりお話しいただいた。福井を食を通じてアピールできないかと立ち上がり、官民連携して地域の活性化へと導いた取り組みの苦労話や、福井のお勧め飲食店のご紹介もあり、和やかに本日最後のご講演を締めくくっていただいた。
初日の研修会終了後には、JR福井駅にほど近いユアーズホテルフクイに場所を移して、懇親会が盛大に行われた。世界シェアの8割を占めるといわれる福井産ハープによる演奏やフルートとの演奏、勝山左義長ばやし(純な色気と乱れ太鼓がテーマ)の演出もあり、福井の産物を楽しみながら親睦を深めることができた。

第2日目の最初の講演は、「精神疾患のあれこれ」と題して、福井県立大学看護福祉学部・教授 大森晶夫先生(座長:みどりヶ丘病院 小野美帆先生)がご講演された。とくに統合失調症やうつ病、物質依存、摂食障害の症状や治療について話され、その中で統合失調症における肥満や糖尿病などの身体リスク、うつ病と関連する食生活や栄養、依存症の回復支援における栄養指導の必要性、摂食障害患者への対応の心得について触れていた。

続いて本研修会最後の講演では、「患者個々に個別栄養管理を」と題して、福井県栄養士会 名誉会長・清水瑠美子先生(座長:嶺南こころの病院 理事長・岡本章宏先生)にお話しいただいた。とくにフレイル(虚弱)やサルコペニアに対する栄養管理や食事摂取基準について触れ、新しい知見を加えて、非常に専門的でボリュームのある内容のご講演であった。

最後の閉講式では、受講証の授与や開催担当支部への感謝状授与、総評をさせていただき、日精協福井県支部長の中川博幾先生のご挨拶にて閉講式は締めくくられた。

本研修会の報告を終えるにあたり、中川博幾支部長をはじめ、企画運営された福井県支部会員の先生方や事務局、関係者の方々に深く感謝を申し上げるとともに、福井県支部の今後のご発展をお祈り申し上げたい。

(日本精神科医学会 学術教育推進制度学術研修分科会)

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