2013年度 日本精神科医学会学術教育研修会報告 栄養士部門

期日/2013年10月24日(木)・25日(金)
会場/ホテルクラウンパレス青森(青森県)

平成25年度の日本精神科医学会学術教育研修会栄養士部門は、平成25年 10月24日(木)、25日(金)の両日にわたり、日精協青森県支部のご担当により、ホテルクラウンパレス青森(青森市)で開催された。「精神科医療にお いて栄養士がいま学ぶべきこと」としたテーマのもと、全国から136名の参加があり、盛大に行われた。

 開講式では、日精協青森県支部長・村上惇先生の開会挨拶に引き続いて、日精協・山崎學会長が挨拶をされ、来賓挨拶として青森県知事・三村申吾様(代読:青森県健康福祉部次長・馬場忠彦様)と(公社)青森県栄養士会 会長・吉川和子様より祝辞をいただいた。

 第1日目の特別公演では、『我々の描く精神科医療の将来ビジョン』との 演題で、日精協・山崎學会長がご講演された(座長:村上惇先生)。〈精神保健福祉行政の歩み〉〈精神保健福祉の動向〉〈精神障害者の地域移行〉〈認知症〉 〈自死対策〉〈精神科医療の将来像〉〈日精協の描く精神医療の将来ビジョン〉について、多岐にわたる内容を豊富な資料や統計データを引用して、わかりやす くお話しいただいた。その中で、日本の精神病床における平均在院日数が他国と比べて著しく多いと言われていることについて触れ、実際には他国のデータでは 長期療養者を含んでおらず、日数の算出方法も日本と他国で違い、同じ基準で比較した場合には日本と他国とで大きな違いがないことを述べられた。また、薬物 療法についても、わが国では多剤大量併用療法が行われているという誤解があることにも触れられていた。

 午後の最初の講演では、『高齢者と認知症の方の摂食嚥下障害の課題と対 応』と題して、弘前医療福祉大学  医療技術学科副学科長/言語聴覚学専攻 教授・白坂康俊先生(座長:弘前愛成会病院 院長・田崎博一先生)が講演された。摂食・嚥下障害のメカニズムにつ いて、実際に受講生には嚥下障害模擬体験をさせながら、わかりやすい説明をされていた。また、認知症患者では摂食・嚥下の機能面だけへの対応では改善につ ながらず、食べる意欲にも問題があるため、家族に好みを聞いたり、味や食感だけではなく、ミキサー食にはつなぎと型枠を用いて形を変え、見た目にも工夫す るなど、食べたい心を動かすことが必要であると述べられた。

 午後の2つ目の講演では、『統合失調症の肥満の現状と肥満教育』との演 題で、新潟医療福祉大学 教授・稲村雪子先生(座長:全国精神科栄養士協議会 会長・西宮弘之先生)が講演された。精神科外来患者の約2人に1人が肥満を 呈しているとし、自身の研究で外来統合失調症患者の肥満に関する食事因子の検討を行った結果、身体活動や非定型抗精神病薬の服用は要因とはいえず、間食が 肥満の大きな要因であると述べられた。また、別の研究で全国の統合失調症入院患者を対象にBMIの調査を行い、先行研究と比べて肥満の割合が少なく低体重 の割合が多かったとし、肥満はもとより、それ以上に低体重対策が重要であると指摘された。

 初日最後を飾ったのは、かの有名な四川飯店グループ代表取締役社長、(公 社)日本中国料理協会 会長・陳建一氏の文化講演であった(座長:青い森病院 院長・平野敬之先生)。演題は『楽しい中国料理』。まず、「自分がお客さん だったらなぁ~。一生懸命作った料理を食べたいなぁ~」から始まった。ステージからフロアに降り、テーブルの間をめぐりながら、大きな声で元気いっぱいの ジョークを交えながらの大変熱の入った講演であった。通常であったら人には言えないような父親、母親のいろいろなユニークなエピソードを紹介しながら、両 親を本当に尊敬していると語った。その中でも印象に残ったのは、麻婆豆腐を日本に紹介し広めた偉大な父親の故陳建民氏は、多くの弟子をとり、かつ料理のレ シピをすべて公開したということであった。その上で建民氏はこう語ったという。「レシピだけでおいしい料理は作れない!!」。そして、その血を引いた建一 氏は「すべての人においしい料理なんてない。パーフェクトなんてない。でも一生懸命作っているんです。プロなんです。プロとはいつ何時でも全力を尽くすこ と、心を込めて作ること、これによって味は変わる。料理は愛情!!」と締めくくられた。
 初日の研修会終了後には懇親会が行われた。

全員参加の青森を題材にしたクイズなどもあり、おいしい青森の郷土料理に地酒、津軽三味線やねぶた囃子と楽しく過ごさせていただいたが、サプライズは、豪快な本場津軽海峡のマグロの解体ショーであった。こうして青森の夜は更けていった。

 2日目には特別企画として、ご本人自身がボディビルダーの(有)ヒューマ ンモア代表取締役・松井浩先生の『あなたが出来る運動指導の実践』と題した講演だった(司会:弘前愛成会病院  管理栄養士・石岡拓得先生)。まずは全員立ち上がってのストレッチ運動から始まった。厚労省によると生活習慣病対策には3メッツが必要で、開眼片足立ちが 20秒以上できる人なら安全にウォーキングができるとのことであった。最初から最後まで、わかりやすく楽しい、実技を含めたあっという間の1時間であっ た。

 その後、沖縄リハビリテーションセンター病院・吉田貞夫先生の『食べ ることの大切さと、そこにたちはだかる問題点~認知症高齢者の栄養ケアなどを中心に~』と題した教育講演があった(座長:石岡拓得先生)。ライブと称して 笑いが絶えないものの、キーワードとしてサルコぺニア肥満、インスリン抵抗性、ビタミンD、高齢者に対する栄養評価としてのMNA、半固形化など、最新の データを盛り込んだ大変貴重な講演であった。

 最後に、受講証授与、開催支部への感謝状授与と総評をさせていただき、日精協青森県支部長の村上惇先生のご挨拶にて閉講式は締めくくられた。
 本研修会の報告を終えるに当たり、村上惇支部長をはじめ、企画運営された青森県支部会員の先生方や事務局、関係者の方々に深く感謝を申し上げるとともに、青森県支部の今後のご発展をお祈り申し上げたい。
(学術教育推進制度学術研修分科会/熊谷 雅之  坂本 隆行)

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