2013年度 日本精神科医学会学術教育研修会報告 作業療法士部門

期日/2013年9月12日(木)・13日(金)
会場/三翠園(高知県)

日本精神科医学会学術教育研修会作業療法士部門は平成25年9月12日(木)・13日(金)の2日間、166名の参加者を得て高知市の三翠園で開催された。
 開講式は、日精協高知県支部長・須藤康彦生先生が開会の挨拶、続いて日精協・山崎學会長が主催者としての挨拶をされた。さらに、来賓として高知県地域福祉部副部長・福留利也様、高知市健康福祉部健康推進担当理事・堀川俊一様から祝辞をいただいた。

  第1日目の講演Ⅰは、須藤康彦高知県支部長の座長で、山崎學会長による『我々の描く精神科医療の将来ビジョン』と題してご講演いただいた。最新の精神保健 福祉のデータ分析に基づき多岐にわたる話題提供・問題提起があった。精神保健福祉における行政の歩みや今後の動向、精神障害者の地域移行など、今後のビ ジョンを交えて、その方向性が示された。

  講演Ⅱは、デイサービスばなな・長谷部好彦先生の座長で、菜の花診療所理事・北村ゆり先生による『認知症治療における作業療法士の役割』と題して講演が行 われた。ご自身の経歴のなかで医療機関や施設で経験された実際の症例や失敗例を示しながら、認知症における周辺症状が環境に大きく依存していることについ て説明がなされた。また、そのなかで作業療法士の担う役割の大切さについて提起していただいた。

  昼食を挟んで、講演Ⅲは、メンタルクリニックちかもり・織田靖史先生の座長で、吉備国際大学大学院 保健科学研究科 准教授・京極真先生による『非構成的 評価~4条件メソッドについて~』と題して講演が行われた。作業療法での評価における従来の評価法の問題点について考察がなされ、吟味と記述における評価 法について、それぞれ4つの条件を軽快なテンポで明快に説明された。

  第1日目の最後の講演Ⅳは、田辺病院・河田誠先生の座長で、曽我病院 バリデーションワーカー・佐藤良枝先生による『身体合併症へのアプローチ~暮らしや すさを支援するための方法論とその考え方~』と題して講演が行われた。現場にて経験する問題点について、車いすの経年変化による不具合や食事介助での実例 を挙げて説明がなされた。身近な材料や些細な工夫によって劇的に改善する様子について、動画を交えてわかりやすく解説された。

 夕刻より同会場にて盛大に懇親会が催された。本研修会の開催に尽力をいただいた日精協高知県支部の先生方の細やかな気配りにより、すべての参加者が心地よい時間を過ごすことができた。

  第2日目の講演Ⅴは、ワークスみらい高知・西田静香先生の座長で『精神科デイケアでできる発達障害の支援~評価から就労支援まで~』と題して、メンタルク リニックちかもり・川渕佐織先生が講演をされた。発達障害者は、精神科デイケアでも独特の解釈や集団行動の苦手さから突発的な行動をとりやすいが、スタッ フが心理教育を行い、行動の評価をすることにより、話し合える場に変化した。患者自身の障害の理解や問題解決、自尊心の確保により、就労やデイケア卒業に つながっていることを紹介された。

  続いて、最後の講演Ⅵは、菜の花診療所・白木幸子先生の座長で『作業療法のかかわりのコツ』と題して、京都大学医学部 教授・山根寛先生が講演された。関 わり方は原点に戻って考えるべきで、治療側の責任において、患者の状態を評価し、その時のニーズに合った関与の仕方で、非言語的治療法を言語を通して伝 え、実践していくことが必要である。今後われわれ作業療法士自身が変わらなければ将来はないとも述べられた。

 講演終了後、ただちに閉講式が行われた。日精協より受講者代表への受講証書授与、高知県支部へ感謝状が読み上げられた。最後に日精協高知県支部長・須藤康彦先生より閉講の挨拶があり、2日間の全日程が終了した。

 本研修会の報告を終えるに当たり、須藤康彦支部長をはじめ、企画・運営された高知県支部会員病院の先生方および関係者の方々に対し、深く感謝申し上げるとともに、高知県支部の今後の発展をお祈り申し上げる。
(日本精神科医学会 学術教育推進制度学術研修分科会/吉田 建世  青木 治亮)

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