2012年度 日本精神科医学会学術教育研修会報告 事務部門

期日/2012年9月13日(木)・14日(金)
会場/愛媛県県民文化会館(愛媛県)

日本精神科病院協会学術教育研修会事務部門は、「これから進むべき精神科病院の路を読む」をテーマに、平成24年9月13日(木)・14日(金)の2日間にわたって愛媛県松山市の愛媛県県民文化会館にて開催され、各地より236名の参加者があった。
 
 開講式は、日精協愛媛県支部長の黒田典生先生が開会の挨拶を、続いて日精協の山崎學会長が主催者としての挨拶をされた。さらに、来賓として愛媛県保健福祉部長・神野健一郎様、愛媛県医師会会長・久野梧郎様から祝辞をいただいた。
 
 第1日目の講演Ⅰは、黒田典生愛媛県支部長の座長で、山崎學会長により「精神科医療の将来の展望」と題してご講演いただいた。最新の精神保健福祉のデー タ分析に基づき、多岐にわたる話題提供・問題提起があった。精神保健福祉における行政の歩みや今後の動向、精神障害者の地域移行から認知症に至るまで、今 後のビジョンを交えながら、その方向性が示された。
 
 ランチョンセミナーは、社会福祉法人ロザリオの聖母会・海上寮療養所 上野秀樹先生による「認知症における精神科医療について~地域連携とアウトリーチ の実践~」と題されたセミナーが行われ、認知症の基礎から臨床に基づいたケアの本質に至る実践的な内容の講演がなされた。
 
 講演Ⅱは、医療法人佑心會堀江病院 理事長・院長 細田能希先生の座長で、外山法律事務所 弁護士・弁理士 外山弘先生による「精神科特有の法的リス ク」と題した講演が行われた。これまでに起きた実際の事例や失敗例を示しながら、医療機関内での労働環境の工夫や渉外におけるリスクとその予防方法につい て、わかりやすく説明がなされた。
 
 講演Ⅲは、医療法人鶯友会牧病院 理事長・院長 牧徳彦先生の座長で、有限会社森川医療企画 医療コンサルタント 森川祐一郎先生による「知らないと損 する今後の医療・介護業界」と題した講演が行われた。本年4月に改定された診療報酬の注目すべきポイントについて、今後の医療・介護の方向性も交えて歯切 れのよいテンポで講演された。また、医療機関における「組織」の位置づけについても明確な言葉で説明された。
 
 第1日目の最後の講演Ⅳは、財団法人創精会松山記念病院 副院長 和氣現人先生の座長で、宮崎税理士事務所 税理士 宮崎浩記先生による「これで税務調 査は怖くない! 税務調査の最新動向と対応策」と題した講演が行われた。国税組織の説明に始まり、最近の税務調査の傾向について解説がなされた。また、医 療機関のグループ法人を実例に挙げた実践的な対応策についても説明がなされた。
 
 夕刻より同会場にて盛大な懇親会が催された。本研修会の開催に尽力をいただいた日精協愛媛県支部の先生方の細やかな気配りにより、すべての参加者が心地よい時間を過ごすことができた。
 
 第2日目の講演Ⅴは、医療法人社団敬愛会久米病院 理事長・院長 坂上博先生の座長で、「保険の有効活用による、緊急資金を準備する」と題し、株式会社タッグ・リスクコンサルタント 代表取締役 田鎖規之先生が講演をされた。
 
 まず、5年以内に起こるであろう巨大地震を想定してさまざまな準備をしておく必要があり、医療機関(病院)における災害対応のあり方として、1)事業継続計画(BCP)の策定、2)損害保険・生命保険による備えが必要であると説明された。
 
 また、退職金については退職給付会計にて「国際会計基準」が適用となる可能性があり、隠れ債務の顕在化、費用の増大(正味資産の減少)、税効果会計の適 用による繰延税金資産の計上、退職給付債務計算の必要性等多大な影響があると思われ、退職給付金に関しては確定拠出型へ改定される企業も多く、なかでも個 人型401k(確定拠出型年金)を検討・導入されている企業も多いとの説明があった。
 
 続いて、最後の講演Ⅵは、特定医療法人清和会和ホスピタル 理事長・院長 鶴井雅敏先生の座長で、「看護部門の人材定着と組織の活性化」と題し、メディカルオフィス21 代表 坂本俊行先生が講演された。
 
 平成21年度総務省「労働力調査」によると、働く女性の20人に1人が看護師等である一方、看護師の資格を持ちながら仕事に就いていない、いわゆる潜在 看護師が55万人(65歳以下)存在するといわれており、看護師確保のためには高い給料・子育て支援・キャリアアップ等の対応が充実している病院が望まれ るが、それ以上に職場の人間関係も大きく左右し、やりがいのある職場が定着率をよくするとの説明があった。また、組織を活性化させるには、経営者(理事 長・院長)が新しい使命・理念を明確にし、それに基づく経営分析(SWOT分析)を行い、結果を経営戦略に反映しつつ指示命令系統をはっきりさせ、名ばか りの組織から実働の組織へ変えていく必要があると話された。
 
 最後に、病院経営が厳しい現況下で、貴重な経営原資である「人」をいかに有効にいかしていくかは重要な課題であり、人事考課制度を見直し、業績評価測定 の方法の設定や考課者訓練の実施、コンピテンシーの導入、BSCの人事考課への導入、目標管理制度の導入、多面評価制度等を検討する必要があると説明され た。
 
 講演終了後、閉講式が行われた。日精協より受講者代表へ受講証書が授与され、愛媛県支部への感謝状が読み上げられた。最後に日精協愛媛県支部副支部長の鶴井雅敏先生より閉講の挨拶があり、2日間の全日程が終了した。
 
 本研修会の報告を終えるに当たり、黒田典生支部長をはじめ、企画・運営された愛媛県支部会員病院の先生方および関係者の方々に対し、深く感謝申し上げるとともに、愛媛県支部の今後の発展をお祈り申し上げる。

(学術教育推進制度・学術研修分科会 / 青木 治亮  西紋 孝一)

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