消費税25%

2018年1月 山崎 學

 新年明けましておめでとうございます。本年は診療・介護・障害福祉サービス等報酬のトリプル改定の年です。執行部一同、一致団結してこれらの改定に取り組み、安定した精神科医療提供体制を実現するように頑張る所存であります。旧年にも増してご支援よろしくお願いいたします。

平成30年度の診療報酬改定は中医協で粛々と審議が行われている。財務省は、改定しなくても毎年5,000億円の自然増収があるのだから、今回の診療報酬改定はマイナス改定でよいと主張する。一方で厚生労働省と診療側は、医療経済実態調査で非常に厳しい数字が出ているとプラス改定を要求している。問題は、今回大幅に引き下げられると言われている薬価引き下げ分を含めてプラス改定にもち込めるかである。最終的には官邸が改定幅を決定し、その後は財政中立の継ぎ接ぎ合戦が始まる。国家財政という点から考えると、社会保障を安定的に運営するには限界がきているのは誰もが認めるところである。しかし、世論はサービス向上を声高に要求しても、財源である消費税の引き上げについてはマスコミ報道含めて反対の狼煙を上げるのが常である。
面白い数字がある。平成2年は財政法第4条1項による公共事業を主とした4条公債や、財政補てんに使われる特例公債を発行しないで予算を組めた年である。この平成2年と平成29年で一般会計における歳出・歳入を比較すると、歳入としての税収は58兆円(平成2年)/57.7兆円(平成29年)とほぼ同額で、その他収入は2.6兆円(平成2年)/5.4兆円(平成29年)、建設公債が5.6兆円(平成2年)/6.1兆円(平成29年)と、平成2年から27年経っているのに基本的な税収は同額である。一方で歳出は、公共事業・防衛・文教および科学振興・その他で25.1兆円(平成2年)/25.9兆円(平成29年)、地方交付税等で15.3兆円(平成2年)/15.6兆円(平成29年)、社会保障費11.6兆円(平成2年)/32.5兆円(平成29年)、国債費14.3兆円(平成2年)/23.5兆円(平成29年)となり、社会保障費増額分20.9兆円、国債費増加分9.2兆円は、赤字国債である特例公債28.3兆円を発行して予算執行している。社会保障費関連は毎年0.5兆円ずつ増加しており、今後さらなる少子化、高齢な後期高齢者の増加により急激に増加することが予測されている。
ここまで書いておいたところ、その前夜に平成30年度診療報酬改定が本体部分0.55%引き上げ、薬価1.74%引き下げ、全体1.19%マイナス改定で政治決着した。政府は平成30年4月の賃上げ3%を産業界に要請しているが、人件費比率65%の精神科病院では、全体で4.5%の引き上げがなければ3%の賃金引き上げはできない。
100歳人生時代の到来は平均寿命と健康寿命の差10年間の医療・介護・年金といった社会保障費の増加を意味し、少子化は税負担者の減少を意味する。医療費給付を制限して民間保険活用の拡大を図れば、貧富の差により医療格差が生じる懸念がある。消費税は赤字国債負担分となる20~25%まで引き上げるべきである。間接税としての高額所得者課税、資産税課税には限界があり、景気に影響されない直接税としての消費税課税が社会保障費財源として妥当と思われる。消費増税に抵抗があるのなら、細川内閣で立ち消えになった社会保障費財源に特化した社会保障目的税を検討するべきである。
自助・共助・公助の社会制度は平均化していなければならない。老人無料化から始まった、公助頼りの権利は主張するが負担はしたくないといった悪弊は正さなければ、早晩、日本の社会保障制度は崩壊することになると懸念している。

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