平成29年度 厚生労働省 老人保健健康増進等事業・障害者総合福祉推進事業 報告書公開

 日本精神科病院協会では、平成29年度に厚生労働省老人保健健康増進等事業「認知症の症状が進んできた段階における終末期ケアのあり方に関する調査研究事業」(テーマ番号85)および厚生労働省障害者総合福祉推進事業「長期入院精神障害者の地域移行に向けた病院の構造改革の推進のための具体的方策のあり方に関する研究」(16番事業)を受託し、このたび報告書を日本精神科病院協会ホームページに公開いたしました。

 

平成29年度老人保健健康増進等事業(テーマ番号85)
「認知症の症状が進んできた段階における終末期ケアのあり方に関する調査研究事業」

 高齢者医療・介護保険委員会では平成29年度は老人保健健康増進等事業テーマ番号85「認知症の症状が進んできた段階における終末期ケアのあり方に関する調査研究事業」を受託し,約120ページの報告書を作成しました。
 認知症の症状が進んできた段階、または重度認知症において、望ましい終末期医療とケアのあり方、意思決定支援のあり方、薬物療法のあり方、身体合併症対応のあり方等について検討し、精神科医療に立場から提言することを目的として取り組みました。
 方法としては、人生の最終段階における終末期医療、終末期ケア、意思決定支援、認知症緩和ケアの専門家4人に対し、ヒアリングとディスカッションを施行し、精神科医療におけるあり方をまとめました。また、大分県、福井県、群馬県の3カ所の「認知症の人と家族の会」支部の家族の方々にヒアリングを施行し、認知症人に立場にたった意見、考えをどうのように報告書に反映させていくか、検討委員会にてディスカッションし、まとめを行いました。
 さらには平成28年度に受託し報告書を作成した老人保健健康増進等事業(テーマ番号88)「認知症の症状が進んできた段階における医療・介護のあり方に関する調査研究事業」における抗認知症薬、向精神薬に関する生データを再分析し、「認知症の症状が進んできた段階における薬物療法のあり方」としてまとめました。
 結果として、認知症の症状が進んできた段階の対応を検討すればするほど、認知症の早期診断、認知症と診断された時から始まる認知症緩和ケア、意思決定支援としてのACP(アドバンスアケアプランニング)等の関わりに精神科医療的アプローチが大変重要であることが再認識されました。また、精神科医療現場における重度認知症に対する抗認知症薬、向精神薬の処方は極めて理にかなったあり方であることが確認されました。

 本事業の実施にあたり、会員病院のほか、会田薫子先生、三浦靖彦先生、五十嵐禎人先生、小川朝生先生ら有識者の先生方、公益社団法人認知症の人と家族の会の皆様等、内外の多数の方々のご支援の下で事業を無事に終えることができました。皆様方のご厚意に深謝申し上げます。

(検討委員会委員長 中川龍治)

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平成29年度 厚生労働省障害者総合福祉推進事業(16番事業)
「長期入院精神障害者の地域移行に向けた病院の構造改革の推進のための具体的方策のあり方に関する研究」

 日本精神科病院協会では、平成29年度厚生労働省障害者総合福祉推進事業「長期入院精神障害者の地域移行に向けた病院の構造改革の推進のための具体的方策のあり方に関する研究」(16番事業)を実施し、報告書をとりまとめました。
 本研究事業では、地域移行機能強化病棟入院料の施設基準等の問題点を探り、届出が阻害される要因の改善に向けた提言、および平成28年度事業にて作成した「地域移行機能強化病棟運用ガイドライン」の改訂をいたしました。
 当該病棟入院料の未届出の病院を対象とした調査では、「精神病床の削減は経済的に困難」が届出を行わない理由として最も多く、次いで「施設基準の要件を満たせない」であり、地域タイプ別および規模別の分析により、過疎地域での人材確保の困難さや小規模病院での職員数不足が問題であることが見て取れました。
 当該病棟入院料の届出病院(届出終了病院を含む)の調査では届出における実態と、「地域移行機能強化病棟運用ガイドライン」の改訂に向けて改善ポイントを実施いたしました。精神病床の削減計画は10~20床とした病院が最も多く、平成28年度ガイドラインを項目ごとに内容の過不足を聞いたところ「必要不可欠なものは網羅されている」と回答した病院が半数を超えました。
 広島で開催された第6回日本精神科医学会学術大会において、地域移行及び病院の構造改革の具体的事例の共有として「地域移行機能強化病棟取得にあたって」と題したシンポジウムを開催し、3病院より事例を報告いただきました。
 地域移行機能強化病棟運用ガイドラインは平成30年度診療報酬改定に伴う変更とともに、簡素化による改訂を行いました。
 地域移行機能強化病棟運用ガイドラインが精神科病院における構造改革が促進され、地域において期待されるべき精神科医療の拠点としての病院運営に資することができれば幸いです。

(検討委員会委員長 櫻木章司)

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